国内

衆参で3分の2獲得の改憲4党 内部でバトル勃発

改憲派勢力も一枚岩ではない

 参院選に勝利した夜、安倍首相はこう宣言した。

「憲法審査会に議論の場が移る。どの条文をどのように変えるか集約されていく」 ──今後、憲法改正に向けた動きが進んでいくのは間違いない。しかし、改憲派勢力も決して一枚岩ではなく、内部での熾烈な戦いが予想される。

 自民党を中心に公明党、おおさか維新、日本のこころ、の「改憲4党」が衆参で3分の2の勢力を獲得し、憲法改正を発議できる環境が整った。ところが、その途端に改憲勢力内でバトルが勃発した。

「野党第1党も加わらないと(改憲の)発議はできないというのが(国会の)コンセンサスだ。民進党がダメと言うものは、ダメだ」

 テレビの討論番組でそう言いだしたのは公明党の斉藤鉄夫・党憲法調査会長代理だった。怒ったおおさか維新の会代表の松井一郎・大阪府知事が「民進党に責任をかぶせて選挙での約束を知らんふりは無責任だ。何のために3分の2を取ったのか」とかみつき、改憲論議は早くも前途多難の気配を漂わせている。

「改憲政党」と言っても、実は4党の方針はバラバラだ。国民の関心が最も高いのは憲法9条の改正だ。

 自民党の改憲案では9条に「国防軍創設」を明記した。「外に向かって軍隊、内に向かって自衛隊。こんな詭弁はやめようというのが自民党だ」そう語った安倍首相の悲願が9条改正にあることは間違いない。

 日本のこころも改正案(概要)で、「国連憲章を踏まえた自衛権を明記する」としている。

 それに対して、おおさか維新の会は「9条改正は時期尚早」(松井一郎・代表)と「教育無償化」「地域主権」(道州制)などに重点を置いた独自の改正案を発表し、一方の公明党は現憲法に新しい条文を加える「加憲」の方針を掲げているものの、「第9条の改正は必要ないと考えます」(同党参院選特設サイト)と主張している。どの条文から改正するか、一本化するのは容易ではない。

●レポート/武冨薫(ジャーナリスト)

※SAPIO2016年9月号

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン