──日本一への道のりを考えると、広島はCS(クライマックスシリーズ)に弱いという指摘もある(2度出場して優勝なし)。
北別府:それは3位でCSに進出してきたから。1位で出て、マツダスタジアムで試合をしたら違っていたと思いますよ。
達川:本拠地では強い。交流戦も、ソフトバンクや西武を広島に迎えた9試合で7勝1分1敗。今年の日本シリーズはセ・リーグ優勝チームの本拠地で4試合やるし、期待できますよ。パの選手に聞くとね、マツダでのプレーは、慣れるのには時間がかかるんだそうです。特にナイターの第1打席では西陽でバックスクリーンが光って球がよう見えない。一方、広島の選手はそれに慣れとるからね。
いずれにせよ緒方監督も相当勉強したと思うし、今年は故障者が出ても代わりの若手が出てくる運もある。
安仁屋:そうそう、優勝する時はそんなものよ。エルドレッドがダメでもルナがよくやっているし、岩本(貴裕)なんて、一軍に昇格していきなり3打数3安打(7月8日阪神戦)だものね。
達川:緒方(孝市)監督と二軍の水本(勝己)監督は同級生だし、同じ三村(敏之)監督の門下生。連絡を密にとっているから、上と下の連携がええんよ。
北別府:そうなると(三村監督時代の)メークドラマの再現があり得ることも……。
安仁屋:いやいや、12球団で今シーズン3連敗していないのはカープだけ(8月3日時点)。7月最後の巨人戦でも、二軍から帰ってきたばかりの福井(優也)が先発。心配もしたが完封リレーで3連敗阻止。これは大きかった。
達川:ボクも同感。優勝したら、秋にまた3人で集まることにしましょうや。
●あにや・そうはち/1944年、沖縄県生まれ。1964年に広島入団。広島に在籍した13年間で90勝をあげている。巨人戦に強く(通算34勝)、「巨
人キラー」と呼ばれる。引退後は広島の一軍・二軍投手コーチ、二軍監督を歴任し、今年は春季キャンプで臨時投手コーチを務めた。
●たつかわ・みつお/1955年、広島県生まれ。1978年に広島入団。広島黄金時代の正捕手として活躍した。野村克也氏らが得意とした「ささやき戦術(打者にささやきかけ、集中力をそぐ戦術)」の使い手として有名。引退後は広島二軍監督を経て一軍監督を2年務めた。
●きたべっぷ・まなぶ/1957年、鹿児島県生まれ。1976年に広島入団。優れた制球力を武器に広島で213勝をあげる。最多勝2回、最優秀防御率1回のタイトルに輝き、沢村賞を2回受賞。コントロールのよさから「精密機械」と呼ばれた。引退後は広島の一軍投手コーチを務めた。
※週刊ポスト2016年8月19・26日号