ライフ

墓要らずで「散骨」希望者が増加 宇宙葬や月面供養も

ハウスボートクラブの海洋散骨

 お盆休み中、故郷に帰省して墓参りをした人も多いだろう──。だが、近年は核家族化が進み、先祖供養の意識が薄れているうえ、〈子供が海外暮らしをしている〉〈独身だから〉〈金銭的に余裕がない〉など様々な理由から、“自分には墓は要らない”と考える傾向が強まっている。

 そんな時代の変化とともに、社会的にも認められつつあるのが「散骨」だ。8月24日まで東京ビッグサイト(江東区有明)で行われている葬儀・埋葬・供養の終活専門展「エンディング産業展2016」でも、散骨葬法の新しい提案が多数みられる。

 2007年より東京湾を中心に「海洋散骨(ブルーオーシャンセレモニー)」を実施しているハウスボートクラブは、設立当初はわずか5件だった依頼が、昨年は216件、今年もすでに170件を超える散骨セレモニーを執り行っているという。

 一体、どんな人が海洋散骨を選ぶのか。同社代表取締役の村田ますみ氏が話す。

「お墓がない人、お墓があっても跡継ぎがいない人のほか、生前に海が好きだった人や海を仕事にしていた人などからの申し込みがありました。また、有名人の散骨、映画のワンシーンを見て興味を持った人、中には夫と同じ墓には入りたくないという“あの世離婚”を望む女性たちもいます」

 同社では所有する船舶を使い、一隻貸し切りのプラン(24名定員で22万円)、数組の家族が乗り合いで散骨するプラン(2名乗船で12万円)を用意。散骨用の献花や写真撮影、証明書発行などにもこだわっているという。

「ご遺族に代わって散骨する代行委託プラン(5万円)もありますが、単なる遺骨の処分であってはならないと考えています。いつでも愛する人を偲ぶことのできる散骨を目指しているので、散骨後に再び同じ海域に向かって供養できるメモリアルクルーズも行っています」(村田氏)

 直径2.5mの大型バルーンの中に遺灰を入れ、30~35km上空の成層圏まで飛ばして散骨する「バルーン宇宙葬」(基本費用一式24万円)を手掛けるのは、栃木県宇都宮市に本拠を置くバルーン工房。もともと結婚式の披露宴で風船を飾る仕事をしていた小野寺義博氏が2009年に考案した。

「これまで約170件実施してきました。この葬法は自宅の庭や思い出の地など好きな場所から飛ばすことができますし、死後に墓問題で親族や子供などに負担をかけることもありません。依頼が増える度に、葬儀に対する世の中の考え方が変わっていることを実感します」(小野寺氏)

関連キーワード

トピックス

およそ揉め事を起こしそうにない普通の人たちがカスハラの主役になっている(写真提供/イメージマート)
《”店員なんて赤の他人”的な行為が横行》条例施行から2か月、減らないカスハラの実態 都内のコンビニ店員が告白「現役世代のサラリーマンが…」品出し中に激突、年齢確認にブチ切れ、箸に”要らねえよ”
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の新人事、SNSに流れた「序列情報」 いまだ消えない「名誉職」に就任した幹部 による「院政説」
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットの幸せな日々》小室眞子さんは「コーヒー1杯470円」“インスタ映え”カフェでマカロンをたびたび購入 “小室圭さんの年収4000万円”でも堅実なライフスタイル
NEWSポストセブン
宮城野親方
何が元横綱・白鵬を「退職」に追い込んだのか 一門内の親しい親方からも距離置かれ、協会内で孤立 「八角理事長は“辞めたい者は辞めればいい”で退職届受理の方向へ」
NEWSポストセブン
元女子バレーボール日本代表の木村沙織(Instagramより)
《“水着姿”公開の自由奔放なSNSで話題》結婚9年目の夫とラブラブ生活の元バレーボール選手の木村沙織、新ビジネスも好調「愛息とのランチに同行した身長20センチ差妹」の家族愛
NEWSポストセブン
常盤貴子が明かす「芝居」と「暮らし」の幸福
【常盤貴子インタビュー】50代のテーマは「即興力」 心の声に正直に、お芝居でも日々の暮らしでも軽やかに生きる自分でありたい
週刊ポスト
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
ホストにハマったAさんが告白する“1000万円シャンパンタワーの悪夢”「ホテルの部屋で殴る蹴るに加え、首を絞められ、髪の毛を抜かれ…」《深刻化する売掛トラブル》
NEWSポストセブン
西武・源田壮亮の不倫騒動から5カ月(左・時事通信フォト、右・Instagramより)
《西武源田と銀座クラブ女性の不倫報道から5か月》SNSが完全停止、妻・衛藤美彩が下していた決断…ベルーナドームで起きていた異変
NEWSポストセブン
大谷夫妻の第1子誕生から1ヶ月(AFP=時事)
《母乳かミルクか論争》大谷翔平の妻・真美子さんが直面か 日本よりも過敏なロスの根強い“母乳信仰”
NEWSポストセブン
麻薬の「運び屋」として利用されていたネコが保護された(時事通信フォト)
“麻薬を運ぶネコ” 刑務所の塀の上で保護 胴体にマリファナとコカインが巻きつけられ…囚人に“差し入れ”するところだった《中米・コスタリカ》
NEWSポストセブン
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
〈ちゅーしたら魔法かかるかも?〉被害女性が告白する有名ホストクラブの“恐ろしい色恋営業”【行政処分の対象となった悪質ホストの手練手管とは】
NEWSポストセブン
公務のたびにファッションが注目される雅子さま(撮影/JMPA)
《ジャケットから着物まで》皇后雅子さまのすべての装いに“雅子さまらしさ“がある理由  「ブルー」や小物使い、パンツルックに見るファッションセンス
NEWSポストセブン