チャリティー番組である『24時間テレビ』は、過去38年間で356億6732万304円の寄付金を集めたという。そのお金はすべて「福祉」「環境」「災害復興」などの支援に使われ、例えば、これまで方々の施設や団体に1万台以上の福祉車両を贈呈してきた。2013年12月に公益社団法人の認定を受けた「24時間テレビチャリティー委員会」の公式HPでは、その成果を高らかに謳いあげている。
でもね、38年間頑張ってきて、もっとも大事な視聴者に対するチャリティー精神の啓蒙・普及は、どれだけ成果をあげただろうか。数字で数えられないから分らないではなくて、『バリバラ』のようなアンチが公然と現れ、その背景には「24時間テレビは偽善番組だ」という大勢の視聴者の声があることをどう捉えているのか。私たちのやっていることは逆にチャリティー精神の破壊かもしれない、と制作者たちは一度でも考えたことはあるだろうか。
番組と一心同体の関係にある「24時間テレビチャリティー委員会」の公式HPをじっくり見て回って、「あれ?」と気づいたことがある。これまで集めてきた寄付金の総額を放送年ごとに記した一覧表だ。
寄付金総額が、2014年は9億3695万5640円、昨年2015年は8億5672万8209円、とイマイチなのである。前記したように過去38年間の全総額は356億6732万304円。38で割ると、1年あたりの平均は9億3861万3692円で、直近2年はそれを下回っている。公益社団法人の認定を受けたことで、寄付金には寄附金控除や損金参入など税制上の優遇措置が適用となった。その効果が出たはずの2年間なのに低調なのだ。
番組の視聴率はここ20年以上ずっと好調。テレビ低迷の時代にあっても、平均視聴率15%超えをほぼ毎年達成、目玉のドラマは20%超えを当たり前のようにしている。
人は集まる。が、金が集まらなくなってきた。その社会的背景には何があるのか。それは愛で解決できるのか。感動していればそれでいいのか。
感動には思考ストップの副作用もある。愛より頭が必要な時代になってきており、『24時間テレビ』も熟考の時をむかえている。そう私には思える。