また、「遺影に使いたい写真」を指定したり、「祭壇」や「棺」「骨壺」の選定などをした上で、すべてパッケージ化されたセットプランを選べるところもある。
「最近では、読経や戒名などの宗教儀礼をなしにしてほしいといった簡略化のリクエストが増えている。とにかく簡素な家族葬にしてほしいという方も多いです。こだわる人では、返礼品や通夜ぶるまいをどうするかといったことまで決めたがる方もいますが、そのような要望にもできる限り対応するようにしている」(都内の葬儀社関係者)
一方で、注意しなければならないのは、生前に葬儀社と相談していたことで、逆に家族にとってのトラブルのタネになってしまうケースがあることだ。NPO法人「葬儀費用研究会」の冨永達也・事務長が語る。
「相談していた内容が家族と共有されていないと、悪徳葬儀社の場合は、営業担当者が『生前に故人が望まれていましたよ』といって高額なプランを提示してくるケースもあるんです。家族も確かめようがありませんから、『最後の親孝行ですよ』の殺し文句で押し切られてしまう」
また、いざ葬儀を執り行なうとなると、どうしても不測の事態も出てくる。いつ死ぬかはわからないので、故人が使いたかった葬儀場の日程が埋まっていたりすれば、家族は他を探すしかなくなり、生前に見積もっていた費用通りにいかなくなることもあり得る。
※週刊ポスト2016年9月9日号