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笑福亭鶴瓶 『スジナシ』は芝居でなくフリートークなんです

笑福亭鶴瓶が語る『スジナシ』の裏側

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。現在公開中の映画『後妻業の女』に出演している笑福亭鶴瓶の言葉から、故・相米慎二監督作品に出演した時の思い出などをお届けする。

 * * *
 笑福亭鶴瓶は1990年、相米慎二監督・牧瀬里穂主演の映画『東京上空いらっしゃいませ』に二役で出演している。

「相米監督には今でも凄く影響されていますよ。演技については全く言わないんですが、その代わり何テイクも撮るんですよね。牧瀬の乳を揉んだりとか、牧瀬をおぶってバーっと行く場面も。こっちはもう全然わからんでやってるわけですよ。『もう早う…』『何が悪いねん』とか言うと、『黙ってやれ』とか言われて。

 でも、そこにつらさはないんですよ。愛情があるんです。何もなく何べんもやられるんじゃなくて、一番いいのを引き出すために気を遣うてるんですよね。だから、俺らも『こいつに負けんようにやったろ』『こいつの一番ええと思う演技をしてあげよう』と思うようになるんです。

 今も同じような手法をする演出家はいますけど、そこに愛情があるかないかでえらい違いですよ。今は、一つの場面を最初から最後まで何度も回すんですよね。あれは自分らの都合で回してるところがある。
 
 あるとき、役者さんがずっと泣く演技をしておられて、僕もそれを受けていたんですが、こっちは意味も分からんのに監督が『はい、次』『はい、次』と言うてくる。それで僕はその監督に言うたんです。『何度も撮る、その意味を言ったれ』って。何べん撮ってもいいけど、意味も分からんのにやらされるのはつらいですから」

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