だが、新生ファミマの規模拡大がどのくらいのスピード感をもって行なわれるかは未知数だ。というのも、旧ユニーは経営統合と同時に約1000店に及ぶ不採算のCKSを閉鎖・店舗移転させる考えを持っている。
業界内では、「立地の重複や統合コスト負担、有力FCオーナーの他チェーンへの鞍替えなどを考えれば、閉鎖店舗は1000店では済まず、2000~3000店も十分にありえる数字」(大手コンビニ幹部)との憶測も流れている。
いまのところ、看板の統一だけでなく、店舗システム、取扱商品などもすべて旧ファミマに片寄せする予定だが、「店内に設置するATMの機種をめぐり、ファミマとCKSで折り合いがついていない」(コンビニ幹部)という噂が広まるなど、この期に及んで店舗統合には不安もつきまとう。
何よりも、セブン追撃にもっとも不可欠なのが、商品力や売り上げをどこまで伸ばすことができるかだ。前出の河野氏が指摘する。
「ここ数年のファミマは、例えば『冷やし中華』の麺にモチモチ感を加えたり、タレを夏の間だけで2回も変えたりするなど、惣菜を含めた商品力はかつてとは比べものにならないほど良くなっています。
それでも日販(1日1店舗あたりの売上高)で10万円以上も差をつけられていることを考えると、セブンの優れたMD(商品政策)に追いつくのは容易ではありません。上田社長も言うとおり、数と並行して質のキャッチアップができなければ、統合した意味はありません」
〈どの業界でもナンバーワンVS対抗勢力しか勝ち残れない──〉が持論だった上田氏は、見事にファミマを2番手まで引き上げた。しかし、すでに飽和状態といわれるコンビニゆえに、今後も他業態を含めた大掛かりな再編劇が起きる可能性は十分にあるだろう。