JR西日本はベンチの向きを変更し手転落を減少させた


 もうひとつの課題は、ホームドアには多額の設置費用やランニングコストがかかることだ。ホームドアの設置費用を捻出できるほど、財源に余裕がある鉄道会社ばかりではない。

 そうしたコスト的な難題を創意工夫で解決しようとしたのが、JR西日本だ。

 JR西日本はホームから転落する人たちを分析し、そこでホームに設置されているベンチの配置を変えた。

 従来、ホームのベンチは線路と水平に並んでいる。JR西日本は、その向きを垂直に変えた。ベンチの向きを変えるだけで、JR西日本はホームからの転落者数を減少させることに成功した。

 私たちは気づいていないが、このほかにも鉄道事業者が考えた利用者を守るための安全対策はたくさんある。私たちは鉄道を当たり前のように鉄道を日々使っているが、その裏には鉄道事業者や技術者・研究者の「さらなる安全な鉄道を追求する」という、たゆまぬ努力が隠されている。

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