「“食材は冷凍するとまずくなる”というのは誤解。間違った冷解凍法が原因」と話すのは、冷凍博士こと、東京海洋大学学術研究院食品生産科学部門教授の鈴木徹さん(「」内、以下同)。
生の食物の中では、酵素が働いている。人の体内に入れば、消化を助ける有益な酵素だが、食物をおいしく保存するには曲者で、色や匂いを悪くし、栄養成分を溶出させる。
「冷凍すると、酵素の働きを止められるので、味や香り、色を新鮮な状態のまま保てます。また、冷凍すると、食材の細胞が変形し、細胞と細胞の間にすき間ができます。解凍後は、このすき間に調味料が入りやすくなるので、味が早くしみ込み、調理の時短になります」
正しい方法で冷解凍すれば、肉や魚はドリップを閉じ込めたまま保存できる。さらに、凍ったまま調理すれば、ドリップが最後まで流れ出ないため、パサつくどころか、ジューシーな仕上がりに。
冷凍とは、もしやいいことづくめ…? ということで、早速冷凍に対する思い込みを変えてみよう!
【思い込み1】冷凍するための下処理が面倒!
「トマトやなす、玉ねぎなどの野菜やきのこ類、生卵、一尾の魚や貝類は、下処理いらずで丸ごと冷凍できます」
【思い込み2】解凍すると水っぽくなる
解凍法を間違えると、水っぽくなることも。特に、肉や魚はドリップが出たら、味も食感も栄養価も落ちてしまう。コツは“ちょこっと解凍”の状態で調理すること。解凍し始めて5~6分経つと酵素が働きだし、旨味や栄養素が流れ出てしまうので、凍ったままか、やや凍った状態で調理するのがおすすめ。
【思い込み3】冷凍すると味が落ちる!
「冷凍すると、菌の繁殖や、酸化、変色の原因となる酵素の働きが抑えられ、味や栄養の劣化も進みにくくなります」
冷凍すると栄養価が増す食材もある。例えば、しじみに含まれるオルニチン量は4倍に増えるという研究結果も。
【思い込み4】肉や魚は、冷凍するとパサパサに
パサパサになる原因は、冷凍庫内で食材の水分が抜けて乾燥するため。肉は表面に油を塗る、魚や貝類は氷漬けにすれば、水分の蒸発を防げて、新鮮な状態を保てる。
※女性セブン2016年10月6日号