また、東京に近い西部の人間は「海のある外房・内房は別世界」とまでいいながらも、こと「埼玉vs千葉」の争いでは、必ず「海」を持ち出す。

「千葉の小学生の遠足は潮干狩りが定番。海水浴も大好きです。海をひきあいに出されて悔しがる埼玉県民の顔が目に浮かびますよ」(前出・ほそい氏)

 だが、埼玉県民から山らしい山がないことを指摘されるのにはめっぽう弱い。「たしかに、県内最高峰の愛宕山でも408メートル。小学校のときに林間学校で福島県の裏磐梯高原に行って、初めて『山って高いんだなァ』と感じた」(同前)

 スポーツ界に目を向けると、熱狂的なロッテファンも大勢いるが、“ミスター・プロ野球”こと長嶋茂雄・読売ジャイアンツ終身名誉監督を千葉が生んだ国民的ヒーローと崇める人も多い。団塊世代の男性の千葉県民なら100%だ(あくまで本誌調査です)。千葉の巨人ファンにとっては谷津公園(習志野市)が「巨人軍発祥の地」であることが誇りだ。

 千葉県への溢れる愛情を胸に秘めながらも、東京への“帰属意識”を強く持ちたがる千葉県民。こうした複雑な県民感情が反映されたのか、ブランド総合研究所が行なった『都道府県出身者による郷土愛ランキング2015』で、千葉は愛着度42位に沈んでいる。

“脱東京”を果たすことができれば、もっと愛される県になれるかも!?

イラスト■福島モンタ

※週刊ポスト2016年10月7日号

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