ドラマで最も激しく自衛隊を批判するのは、兄が学徒出陣で戦死したという君塚校長(赤木春恵)だ。兄の志を継ぐため教職を選んだ彼女はこう語気を強める。
〈当時の教師のスローガンというのは、『教え子たちを二度と戦場に送るな』でした。ところが近頃は就職斡旋の一つとして、自衛官募集のパンフレットを生徒に手渡す学校や教師が出てきた。これは一体どういうことでしょうか〉
「教え子を戦場に送らない」は日教組のスローガンであり、君塚校長の言葉は典型的な日教組の主張である。国民的な学園ドラマで政治的なスローガンを垂れ流すのは、放送の公共性に鑑みて問題ではないか。
しかも視聴者の中には親が自衛官という生徒もいたはずだが、その子の心境をまったく考えていない。今なら自衛隊関係者の人権問題にまで発展しかねない、悪質なヘイトスピーチと言えるだろう。
【PROFILE】森虎雄(もり・とらお)/1956年、東京都生まれ。上智大学文学部卒業。明星大学大学院人文学部研究科教育学専攻修士課程修了。公立高校の教員、教頭・校長を歴任し現職。森虎雄のペンネームで出版した著書『反日日本人は修学旅行でつくられる』が話題に。
※SAPIO2016年10月号