米・カリフォルニア州では、この夏に教育委員会が、公立高校で使用される教科書で慰安婦を「性奴隷」と記述する指針を採択。〈「慰安婦」は制度化された性奴隷の実例として教えることができる〉とされた。来年の教科書はこの指針を参考に作られる。
指針採択の背後にはやはり韓国系反日団体の活動があった。彼らは教育局に対して、指針に慰安婦問題を盛り込むよう要望していた。採択に先立って開かれた公聴会では、現地在住の日本人主婦らが反対意見を述べ、修正された部分もあったというが、結局、「性奴隷」という言葉はそのまま残った。
「強制連行」の唯一の根拠だった吉田証言を朝日新聞が嘘と認め、記事を撤回した後も、世界に広まった誤解は「事実」として認識されている。さらに反日団体が好き勝手に慰安婦の数を「20万人」などと誇張している。
世界各地で展開される韓国系反日団体との情報戦で、なぜ日本側は苦戦を強いられるのか。前述の豪・ストラスフィールド市で慰安婦像設置を阻止した日本人のひとり、山岡鉄秀氏はかねて外務省の海外へ向けた情報発信に問題があると指摘してきた。
山岡氏は同省のホームページが慰安婦問題について、事実検証にはほとんど触れず、「河野談話」と「アジア女性基金」ばかりを取り上げており、また、英訳は不適切で誇張された箇所があると批判。ホームページを作り直すよう求めている。いくら海外で民間の日本人が粘り強く議員や住民に説明したところで、外務省がせっせと日本を貶める情報を発信していては、苦戦するはずだ。
日本を傷つけようとする国や団体との情報戦を制すために、情報発信戦略を根本から練り直す必要がある。
※SAPIO2016年11月号