そうした教訓を経て点数のつけ方や登録方法に変更が加えられたのだろう。高岳さんは今回の発言に至るまでも、食べログに対して、もともと不信感を持っていたと話す。
「店舗側は、レビュアーさんのどんな意見や点数も受け入れる姿勢で向き合っています。しかし、レビュアーさん個別の点数がお店の総合点になると、どうも関連性がよくわからない。食べログ側が総合点をコントロールしているというなら、どうしても不透明感や不信感が残ってしまいますよね」(高岳さん)
点数の算出方法についてカカクコムは「食べログでは、各レビュアーの影響度などによる独自の方法で、お店ごとの点数を算出しています。各レビュアーの影響度は、食べログでの実績による『食通度合い』から算出しています」と説明する。
つまり、人気レビュアー以外の点数は、あまり意味がないってこと? フードジャーナリストの松浦達也さんはこう語る。
「基本的に食べログへの投稿が多いヘビーユーザーの点数が重視され、数件の投稿しかしていない人の口コミは、ほぼ点数に反映されません。その傾向は以前からあります」
私たちが「とてもおいしかったから」とか、逆に「こんなお店二度と行くもんか」という理由から点数をつけても、お店の評価に影響がなく、一方で食通度合いの高い人が高得点をつけると、他の人がいくら低い点数をつけていても点数が跳ね上がるのだ。しかし、その食通度合いの基準も明確ではない。ある飲食業界関係者が語る。
「影響力のあるレビュアーがいることは確かですが、5000件書いているからとか、300件しか書いていないといったことは全然関係ありません。何をもって食通度合いの高いレビュアーというのかはわかりません。もちろんそれは、わかってしまうと、ユーザーみんなが意図的に行動する恐れがあるので、それを防ぐ意味もあるのでしょうが」
当たり前にみんなの口コミが平等に載り、点数化されていると思っていた人からすれば、かなりショック――投稿数による平均点でもなく、食通の基準もわからないとなっては、私たちは何をもってして「失敗しないお店」を選べばよいのだろうか。もう食べログなんて見ない。そう思った方がいいのだろうか。
「そんなことはありません。口コミグルメサイトは数々ありますが、全国のお店をこれほど網羅しているのは食べログだけです。新しいお店や地方のお店など、他のサイトでは評価がついてなくても食べログでは数件のレビューが書き込まれていることも多い。これほど幅広く、さまざまな人の意見を見られるサイトはありません」(松浦さん)
※女性セブン2016年10月20日号