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「週刊文春エース記者」が語るスクープの裏側

 本では駅のホームで起きた殺人事件の目撃者を探すため、始発から終電まで改札に張り込んで利用客に尋ねていくエピソードも紹介されている。その駅で見つからなければ隣の駅へ。早朝から深夜まで毎日地道に聞き込んで、ひとりの目撃者を見つけたのである。

 中村氏は「スクープを取るのに特別なことはなく、普通のことしかしていない」というが、その普通が尋常ではない。

──私はスクープを取るのは一種の才能だと思っています。自分にはその才能がありませんでした。中村さんはスクープを取る能力についてどう思いますか。

「性格、パーソナリティーという部分が大きいかもしれません。よく、『人当たりが良くて誰からも好かれるタイプで云々』とスクープを取る記者像が語られますが、そんなことはありません。いろんなタイプのスクープが取れる記者がいると思います」

──中村さんはどんなタイプですか。

「僕はものすごく人の話を聞きますね。役に立つ立たない関係なく聞きます。他の記者から『よくあんな役に立たない話を聞いていられるな』と呆れられるぐらい聞きます。我々の仕事って、人様の話が先にあって成立するじゃないですか? 凶悪犯であっても普通の市民であっても、僕は真摯に耳を傾けたいというのが信条でもあります。そういう人への共感力というのが強いのかもしれません」

──また情報源、いわゆる「ネタ元」という存在もあります。私もかつてネタ元と考える人と付き合うようなことをしていましたが、どうも功利的な人間関係に疲れてしまいました。中村さんはどうですか。

「よく若い記者からも『ネタ元はどうやって見つけるんですか』と聞かれるんですが、基本は身の回りの人を大切にすることからですよ。僕も損得関係から人付き合いしたことがありますけれど、やはり長く続きません」

──でもそれだと結局「好き嫌い」で人と付き合っていることになり、交友関係が狭くなりませんか。

「あ、僕は人の好き嫌いってそんなにないんですよ。どの人も等距離というか。そこは変わっているのかもしれません」

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