──夜に人と飲むのは欠かさず?
「文春時代は毎晩でしたね。僕はお酒飲めないんですが、ウーロン茶片手に毎晩ずっと酒席にいました」
──人の付き合い方で励行していることはありますか。たとえばよく聞く、掲載誌を送るときに直筆の手紙を添えるとか。
「むかしそういうのやってましたけれど、長続きしなかったですねえ(笑)そこまで筆まめじゃないというか(笑)」
──ですよね? ああ良かった(笑)
「でも週刊誌にいると苛酷な人間関係にさらされるんです。飛鳥涼のシャブのときも、親しいと思っている人から『あいつは暴力団からカネ貰っている』とかデマを流されました。付き合いうと危険と思われて、電話しても出てくれないとか、ネタ元が一切いなくなる。孤独感に苛まれるところがあります」
──その中で仕事の情熱を支えていたのはなんですか。
「僕が文春に来たのは30歳で遅いスタートなんです。結婚して子どもも生まれたのに、人脈もなにもない。人と同じことしていてはいけないと思って、がむしゃらに取材してきただけですよ。娘からは『パパはお酒も飲まないしギャンブルもしないし、なにが面白いの?』って聞かれるんですが、ほんとそうですよ。仕事が面白いといえればいいんですが、なかなかそうもいかないですよね(笑)」
──なにが楽しみなんですか(笑)
「海外旅行と動物見ることですかねえ。家で鳥飼ってますし、猫カフェもいきます(笑)」
現在取り組んでいるのは人物評伝。「著名人ではなく無名な人。無名だけど面白い人を世の中に届ける本が書きたい」。スクープ記者が発掘する無名伝だ。面白くないはずがない。
〈なかむら・りゅうたろう〉1964年生まれ。大学卒業後、会社員を経て95年から週刊文春編集部で勤務。数々のスクープをものにし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞」を最多の3度受賞する。本書は初の単行本。現在は雑誌だけでなく新聞テレビラジオでも活躍している。