ライフ

「週刊文春エース記者」が語るスクープの裏側

「エース記者」は語る

 9月30日、週刊誌の編集者、ライターが注目する一冊の本が出た。「スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ」(文藝春秋社)。著者の中村竜太郎氏は2014年まで週刊文春に在籍し、活躍してきた。同世代の「スクープとは全く縁の無い」フリーライターの神田憲行氏が迫る。

 * * *
 今回の取材は個人的にも大いに楽しみにしていた。以前から中村竜太郎氏の名前は、スクープには無縁な私のようなフリーライターでもよく耳にしていたからだ。週刊文春の編集者から「うちに中村っていうエースがいて」と実際に聞かされたことがあるし、他誌の編集者、ライターも「文春のトップの中村」とたまに噂話をしていた。この本のサブタイトルに「週刊文春エース記者」とあるが、これは読者を呼ぶためだけの惹句ではない。彼は本当にそう呼ばれていたのだ。

 本では読者もまだ記憶に新しいであろう「飛鳥涼覚醒剤事件」や、のちに海老沢会長辞任にまで発展する「NHK紅白歌合戦プロデューサー巨額横領事件」など、中村氏が手がけたスクープ記事の裏側が紹介されている。

 それ以外で中村氏に印象深い仕事を訊ねると、「光市母子殺害事件」の被害者である本村洋氏の単独インタビューに最初に成功した話をしてくれた。

「本村さんのときは現場に最後発で乗り込んだんですよ。こちらは記者クラブに入っていないし、本村さんもどこにいるのかわからず、誰にも相手にされない状況でした」

 取材の世界には『現場100回』という言葉がある。事件現場に何度も足を運べ、という意味だ。中村氏は文字通りそれを実践していく。

「といってもご近所はすでに他の記者が回ったあとですから、誰も手つかずのところを探し歩いていたら、山を越えたところに加害者家族が住んでいた住宅街を見つけたんです。そこはどこの記者もまだ来ていませんでした」

 そこで聞き込んだ加害者の横顔を記事にした。それが本村さんの琴線に触れ、どこのメディアもまだできなかった単独インタビューに成功するきっかけになったという。本村さんのご両親も見つけた作業もすごい。

「僕は葬儀では花輪をよく見ます。亡くなられた本村さんの奥様とお子さんのお葬式の写真に1枚だけそれが写っているのがあって、誰から送られてきたものかルーペで名前を確認したら、本村姓のものがあった。親族に違いないと思って、電話帳でしらみつぶしで探しました。本村姓のお宅に電話を掛けて、違っていたら定規で線を引いてその名前を消す。そうやって一軒ずつ潰していって、隣の県で見つけました」

関連記事

トピックス

千葉ロッテの新監督に就任したサブロー氏(時事通信フォト)
ロッテ新監督・サブロー氏を支える『1ヶ月1万円生活』で脚光浴びた元アイドル妻の“茶髪美白”の現在
NEWSポストセブン
ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン
モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン