日立製作所が開発したヒト型ロボット「エミュー3」は、ハードの動力性、ソフトのコミュニケーション能力ともに優れた“最強ロボ”といえる。
すでに羽田空港や東京駅などでの実証実験も繰り返し、接客サービスの実力は海外からも注目されている。雑音の中から話しかけてくる人の声だけ拾いクラウドに送り、AIで情報処理した後に、多言語や専門用語にも対応した的確な回答を選び出す。
それだけではない。エミュー3は時速6kmで移動できるうえ、段差を乗り越えて迷い人などを目的地まで連れていく能力まで兼ね備えている。将来的にはセキュリティーシステムと連携させて「警備員」としての任務もこなせる可能性を秘めている。
こうして目覚ましい進化を遂げるAI技術、実用化目前の接客ロボットの数々を目の当たりにすると、人間とロボットが共生する時代がすぐそこまで来ていることを改めて実感させられる。
IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏がいう。
「高齢化や働き手不足など深刻な問題が起きている日本において、接客ロボットは単なる“客寄せパンダ”の域を脱し、様々なサービス現場で求められる能力もどんどん上がっている段階だと思います。
中には『ロボットが人間の仕事を奪ってしまうのではないか』との懸念もありますが、人間とまったく対等に会話をしたり感情を共有したりするレベルには程遠いですし、そこに動作が加わればなおさらです。当面は業務の補助や省力化に貢献するツールとして社会に溶け込んでいくと思います」
ロボットを人間の仕事や生活を支援する良きパートナーと位置づけるためには、単にAI技術を高めるだけでなく、ロボットと共存しやすい環境に整えることも重要だろう。