2軒目は、埼玉県飯能市にある「Cafe Living Roomルーム 61」。カントリーブルースがかかり、いれたてのコーヒーの香りが漂う。客はさまざま。なのに不思議と静かで穏やかな空気が漂う。店の主でコーヒーコーディネーターの中村穣さんは、牧師でもある。
「18才で家出をしてアメリカに渡った過去がありまして、当時は日本に居場所がないと思ったんです。で、アメリカで日本人の牧師先生に出会って、救われました。今度は私が誰かの“居場所”を作りたかったんです」(中村さん)
3年前からこの地に教会を開いたが、カフェとして使えるように作り替えるまでには、2年間のセルフリノベーションを費やした。
「建て替え中、ホームレスのおじちゃんが床下に炭を敷いてくれたこともあります。そうすれば、そこはおじちゃんにとって“おれが作った”って居場所のひとつになる。すべてのご縁は神のお導きなんです」(中村さん)
大人気のカフェだが、週1以上の営業は考えていない。普段、牧師として池袋の中高一貫校などで教鞭をとることに加え、炊き出し活動や音楽活動、そして3人の子育てに手がかかるためだ。
今は静かなカフェのこの空間も形を変えていくかもしれない。その時は主の奏でる音楽が店内に響いているかもしれない。