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神社本庁の政治姿勢がなぜ「反米右派」思想を生んだのか

GHQは国家と神道の分離を進めた 共同通信社

 いま、「神社本庁」の存在感が急激に増している。安倍政権と密接な「日本会議」より先鋭的な思想を持つとされ、その関連団体「神道政治連盟国会議員懇談会」には300人以上の国会議員が加盟している。

 日本会議と神社本庁。ともに安倍政権の“黒幕”のように指摘されるが、その思想から成り立ちまで両団体の性質は大きく異なる。季刊「宗教問題」編集長の小川寛大氏がレポートする。

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 日本最大の保守系市民団体である日本会議、そして全国の神社約7万9000を束ねる組織・神社本庁。この両団体の存在を安倍政権の“黒幕”のように語る声がある。だが、両団体を同一の性格を持つ団体と見るのは正確ではない。

 日本会議とは1970~1980年代にかけて結成された、文化人や宗教者らによる反共産主義の政治団体を母体とし、日本国憲法を中心とする戦後日本の体制を「時代に合った形に変える」と言って改憲などの運動を進めている組織である。一方で神社本庁の政治姿勢とはズバリ、反米、戦前回帰である。

 明治時代から昭和20年にかけて、つまり大日本帝国時代において、神社とは一宗教団体などではなく、日本政府の影響下にある、一種の国家機関であった。

 内務省神社局や神祇院といった組織が全国の神社の統括、および神道思想普及といった事業に従事。そうした時代において神職とは公務員待遇を受ける存在だった。

 ただし、他宗教に優越する“特権”を保持した神道の黄金時代は1945年の敗戦で一気に瓦解する。敗戦からわずか4か月後の1945年12月15日、GHQは「神道指令」を発布。

 正式名称「国家神道、神社神道ニ対スル政府ノ保証、支援、保全、監督並ニ弘布ノ廃止ニ関スル件」の通りの内容を持つもので、ここにおいて日本政府と神道は完全に切り離される。それ以降、日本の神社は“一宗教団体”として、戦後社会を歩むことになる。

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