スポーツ

元広島・川島堅は小平市で整骨院経営 初診料は2000円~

3球団競合の末に広島に入団した川島堅氏(47)

 広島カープ25年ぶりの優勝を新天地で祝福した往年の鯉戦士を訪ねた。

 ドラフト前日に8球団から1位指名の可能性を伝えられていた川島堅(47)は、3球団競合の末に広島に入団した。1988年、高卒1年目の夏に一軍昇格。約1か月後、甲子園で先発・大野豊が打ち込まれ、中継ぎで初登板を果たす。

「どうせ今日も出番はないだろうと高を括っていたんです」

 実はコンタクトレンズを宿舎に忘れていた。捕手の達川光男は「バカたれ!」と一喝した後、「よし、わかった」とマウンドを去って行った。

「何がわかったのかな? と思ったら、胸の辺りで大きくサインを出してくれたんですよ。よく見えましたね。フォローの仕方が完璧でした」

 1年目は最終戦で完投するなど上々の滑り出しだったが、3年目にコーチから「横手投げに変えろ」と指示を受け、約1か月後にヒジを故障。1995年から1年間台湾でプレーし、野球から離れる踏ん切りがついた。

 帰国後、大学へ行くか、資格の勉強をするか、商売を始めるか悩み抜いた末、少しでも野球で故障した経験が活かせると思い柔道整復師を目指した。

 カープのトレーナーに相談し、紹介された接骨院のグループ会社で朝と夜働きながら、昼は専門学校に通う日々を3年間続けた。月給は10万円程度。年下の院長に命令される立場になった。

「自分は何もできないと思い知らされ、給料があるだけでありがたかった」

 謙虚な姿勢で吸収力の高い川島は新店舗の院長に抜擢され、8年間勤め上げた後、独立した。

「自分のやり方を試したくなった。収入は減ったけど、充実しています」

 川島は今、東京・小平市で一橋整骨院を経営する。初診料2000円から。

「都心部の整骨院よりかなり安いですよ」

(文中敬称略)

●取材・文/岡野誠 撮影/藤岡雅樹

※週刊ポスト2016年10月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン