国際情報

中国が尖閣諸島の侵略的攻勢強める狙い 米海軍大所長解説

尖閣周辺の領海に入った中国船を追う海上保安庁の巡視船=右

 尖閣諸島周辺に、姿を現す中国漁船に国防関係者が警戒心を募らせている。漁民を装った中国の武装民兵が包囲しているからだ。この状況を、アメリカはどう見ているのか。産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が、アメリカの専門家が分析する「中国の狙い」をリポートする。

 * * *
 尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対する中国の侵略的な攻勢が急に強まってきた。

 今年8月初旬から、「中国海警」の武装艦艇十数隻が尖閣周囲の日本領海にこれまでにない頻度で侵入を始めた。数百隻の民兵「漁船」団が同様に迫っている。従来の攻勢からの大規模なエスカレーションである。

 中国のこの新攻勢の意図はなにか。日本はどう対応すべきか。

 これら課題への見解を、アメリカ側で中国の海洋戦略や軍事動向、対外政策を一貫して追う官民の専門家たちに尋ねた。ワシントンでのこの一連のインタビューで明確になったのは、いまの尖閣事態を切迫した危機と見る認識だった。日本の反応とは決定的に温度の異なる深刻な懸念でもあった。

 本来、日本が考えるべき尖閣問題をアメリカ側に問うのは、アメリカが同盟国として尖閣防衛の誓約を言明していることに加え、中国の近年の海洋進出全体に対処してきた当事国だからである。

 元国防総省日本部長で現在は民間安保研究機関「グローバル戦略変容研究所」所長であるポール・ジアラ氏は中国の新攻勢を「新しいタイプの戦争手段」と呼んだ。

「中国海警艦艇と民兵『漁船』を組み合わせた攻勢はいかにも最近の中国らしい異色で挑発的な攻め方だ。日本が対処に苦しむ不正規、非対称の戦法だと言える。『漁船』が実は軍の指揮下にある民兵で、武装して尖閣上陸の能力を持つことへの認識が日本側では不足している」

 ジアラ氏は中国側の最終目標は尖閣占拠であり、現在の新攻勢はその目標に向けての演習や日本側の出方の探査だろうとも述べた。

関連キーワード

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン