「量産品と違って一期一会で、後で欲しいと思っても手に入りませんし、一つ一つが違う手作りならではの情緒があります。私は、うつわブームの一番の背景は、食にこだわる方が増えたことだと思っています。気に入ったうつわを使うことで、料理がより美味しく見えて、美味しく食べられることが一番にあります。食器道具としてだけでなく美術工芸品的な良さもあって、見てよし、使ってよしというところがうつわの魅力ですね」
近年、スタイリストの熊谷隆志氏やNIGOといったクリエイターなど、流行に敏感な人達が作家物のうつわを気に入って使っていることも影響している。女優の木村文乃も、ひとり暮らしながら、100枚以上のうつわを所有している“うつわオタクぶり”を過去にバラエティ番組で明かしている。手料理が話題となり160万フォロワーがついているインスタでは、焼き物や作家の名前を紹介することもある。
インスタグラムの食トレンド発信メディア『おうちごはん』編集長の南出千賀さんも、1年ほど前から日本でも利用者が爆発的に増えたインスタグラムの影響は大きいと語る。
「作家物は、自分だけの一点物として他の人と差がつけられ、そこへインスタ流行りも重なって“見て見て”という気持ちを刺激されるのだと思います。芸能人や料理家が手料理を投稿するようになって、コメントでうつわについて尋ねたり、丁寧な暮らしで人気を集めている、料理上手なインスタグラマーが使っているうつわにもスポットが当たっています。ハッシュタグで作家の名前を参考にしている人は多いですね。
インスタで作陶風景をアップしたり、展示会情報を告知する作家さんが増えてきたことも大きいです。今、“イケメン作家”とその人自身もフォーカスされている作家さんもいて、会いに個展へ足を運ぶ人も。ご本人たちもインスタでコメントを返したりするので、ますますファンがついています」
「和食ブーム」や、丁寧な暮らしに注目が集まり、家ごはんが人気の潮流も影響しているという。