国内

約22万円のがん遺伝子検査は「想像以上にセンシティブ」

アンジーのように米国で予防的切除をする女性が急増

 2013年にハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリー(41才)が、乳がん予防のために両乳房を切除したと公表した。アンジーが健康な乳房を切除・再建したことをきっかけに、米国で予防的切除をする女性が急増。日本にも大きな影響を与えた。

 ピンクリボンブレストケアクリニック表参道の院長・島田菜穂子さんが振り返る。

「『母が今、乳がんで治療中なのですが、私も検査をしたほうがいいのでしょうか?』などと、がんと遺伝に関する相談が一気に増えました」

 さらに2015年、アンジーは卵巣と卵管を摘出したと発表。“乳がんに加えて卵巣がんも遺伝する”――それは衝撃をもって、常識のように女性たちの胸に刻まれたのだ。

 実際のところ、がんは生まれつきの遺伝子や、たばこ、運動不足といった生活習慣・環境的要因、偶然が重なって、誰にでも発症しうる病気だ。しかし、特定の遺伝子に異常があると、高い確率で発症する。国立がん研究センター中央病院遺伝子診療部門の吉田輝彦さんが解説する。

「たとえば、乳がん・卵巣がんの中で遺伝が原因のものは罹患者全体の5~10%だといわれています。その中で誰もが持っているBRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に異常がある『遺伝性乳がん・卵巣がん症候群』の人は、生涯で乳がんにかかる割合が56~84%、卵巣がんで40~60%と高確率になります」

 通常、乳がんになるのが11人に1人、卵巣がんは90人に1人といわれているので、それに比べると「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群」の人はかなり罹患リスクが高い。アンジーは遺伝子検査の結果、BRCA1遺伝子異常が見つかった。実際、母親は乳がんと卵巣がんに罹り56才で死去。祖母と叔母もがんで亡くなっている。

 もし、自分がこのタイプのがんだったら、娘は? 姉妹は? と考えて悩んでしまうのは当然のこと。フリーアナウンサー・小林麻央(34)も悩んだ。彼女はブログにこう書いていた。ここで言う「姉」とはフリーアナウンサーの小林麻耶(37)のことである。

《乳がんを経験していた母は、ずっと胸のうちで『私のせいではないか』と自分を責めていました。そして、妹も乳がんとなると、姉は、相当不安があったと思います。私は、娘のことも、とても心配で、私のせいで将来もし、と苦しい気持ちになりました》

 そして、検査を受けることを決意する。しかし、麻央も受けた遺伝子検査は一般的ながん検診と違って、気軽に受けられる検査ではない。また、最近よく広告などでも見かけるようになった唾液を使った簡便なものとは全く別のもので、実際の検査までハードルが高く設定されている。

 検査を受ける場合、まずは専門機関でカウンセリングを受ける。血縁に乳がん罹患者が3人以上いるなど家族歴を確認して、遺伝子異常の可能性が低ければ検査の必要はないと判断されることもある。また、検査は成人であれば本人の同意でできるが、基本的な前提として、「遺伝子」というナイーブな問題になるため、家族の充分な理解が必要になる。

関連記事

トピックス

出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン