肉欲的で被写体の色香が匂い立つような写真を得意とする写真家の清水清太郎氏は、40年以上、数多くの女性を撮影してきた。
これまで清水氏は幾度となく屋外・海外での撮影を行ってきたが、その分、幾多のトラブルに見舞われてきた。
「天地真理を馬に乗せて、歩いている様子を撮ってたんだけど、その道が下り坂でね。どんどん馬が加速しちゃって、最後は走りだしちゃった。牧場主が馬を止めた途端に、よっぽど怖かったのか泣き出しちゃって、その後はもう撮影にならなかった」
現場でいきなりマネージャーからいわれた言葉に、頭を悩ませたこともある。
「杉本彩の撮影の時だね。人魚のように撮りたいっていわれてさ。人魚ったって、急にいわれてどうやって撮んのよって。
考えた末に3時間かけて砂で人魚の尾を作り、下半身をそこに隠しながら俯瞰で撮影したんだけど、どうやってもマグロにしか見えない(笑い)。あれは笑ったな。撮りながらこれは使えねえなって思ったけど、マネージャーは結構気に入っていたよ」
公私ともに仲が良く、今も折を見ては食事に行く川上麻衣子のロケではヘビが現われた。
「2007年に『週刊ポスト』のグラビアで、彼女の出身地であるスウェーデンに行ったんだよ。綺麗な湖があったから、そこに麻衣子を入れて、俺は脚立に乗って撮ることにした。脚立の上からだと水の中がよく見えてね、中にはヘビとかカエルみたいなのがウヨウヨ見えたんだ。
もちろん事前に担当編集者を湖に入れて安全を確認したよ。でも話すと怖がって撮影にならないと思って、麻衣子には黙ってた。終わった後でいったら“気付いてたわよ”って(笑い)。それでも動じなかったんだから、あの子はすごいよね」
武田久美子と水島裕子には痛い思いをさせてしまったと語る。
「武田が18歳の撮影で、ヤシの葉っぱで褌(ふんどし)を作ってはかせたの。そしたら撮影中ずっと“痛い、痛い”っていっててね。終わって脱がせてみたら、股全体に真っ赤なミミズ腫れができていた。ヤシの葉にある棘が取りきれてなかったんだよ。あれは悪いことしたなァ(苦笑)。
水島で一番思い出深いのは、タイのマイトン島での撮影だな。薄布を一枚敷いて、岩の上に裸で寝かせた。そしたら波がザバンときて、岩から落っこちちゃって、背中が血だらけになっちゃったんだ。でもその後も水島はちゃんと仕事したから偉いよ。大したもんだよね」
※週刊ポスト2016年11月11日号