芸能

松平健は静の芝居を求めている

40年以上にわたり活躍する時代劇スター、松平健

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、40年以上にわたり活躍する時代劇スターのひとり、松平健が、池波正太郎作品に対する思いを語った言葉からお届けする。

 * * *
 松平健は『鬼平犯科帳スペシャル 盗賊婚礼』(2011年、フジテレビ)、『鬼平外伝 正月四日の客』(2012年、時代劇専門チャンネル)と、池波正太郎原作時代劇への出演が続いている。そして、新作『池波正太郎時代劇スペシャル 顔』(時代劇専門チャンネル)も、池波原作だ。

「60を過ぎて歳を重ねていくと、主役の話ってなかなか来ません。どうしても若い人が主役になる。立ち位置をどう変えていくかは、ずっと考えています。

 これまでは感情むきだしの時代劇をやってきました。ただ、若い頃は無理といいますか、冒険ができたんですが、年齢も60歳が近くなって、だんだんと《静の芝居》もいいかな、と思うようになっていたんです。

 そういう時に『盗賊婚礼』のお話をいただきました。池波先生の原作は心の芝居が多いですよね。『鬼平』は、昔から観てきまして、『銭形平次』とか、ああいう派手な時代劇とは違って、落ち着いた大人の時代劇と思っていました。こういう時代劇に、ようやく年齢が合うようになってきたんですかね」

『顔』では、表では剣術指南を生業にしながら絵を趣味とし、裏では殺し屋という、二面性のある役柄を演じている。

「今の僕には、池波先生の世界が凄くいい。ですから、池波原作ならなんでもやろうと思っています。裏社会を描いた作品が多いですが、そこでの心の葛藤がある。それこそまさに僕の求める《静の世界》と言えます。

『顔』で意識したのは、裏の社会での顔と家庭での顔の違いをはっきりさせることですね。

 それから、今回は伏線がたくさん張られています。絵の世界に入るきっかけとなった先生との過去の話、趣味の絵で知り合いになった仏具屋の御主人との交流、それが最終的にある悲劇になっていく。過去の部分と現在の部分は大きく分かれているので演じやすかったですが、現在の部分で、ある真相を知ってからの気持ちが変化していく芝居を演じるのが難しかったです。

 芝居は、現場に行ってから決めます。相手の芝居を見ないと分からないですから。自分で『こうだ』と作ると対応できません」

関連記事

トピックス

17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
本誌『週刊ポスト』の高利貸しトラブルの報道を受けて取材に応じる中条きよし氏(右)と藤田文武・維新幹事長(時事通信フォト)
高利貸し疑惑の中条きよし・参議院議員“うその上塗り”の数々 擁立した日本維新の会の“我関せず”の姿勢は許されない
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
高橋一生と飯豊まりえ
《17歳差ゴールイン》高橋一生、飯豊まりえが結婚 「結婚願望ない」説を乗り越えた“特別な関係”
NEWSポストセブン
西城秀樹さんの長男・木本慎之介がデビュー
《西城秀樹さん七回忌》長男・木本慎之介が歌手デビューに向けて本格始動 朝倉未来の芸能事務所に所属、公式YouTubeもスタート
女性セブン
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
NEWSポストセブン