「自信過剰かもしれないけど、本当にそう思った。その頃、二つのリーグは、足の引っ張り合いのようなことばかりやっていたからね。内輪では絶対、解決不能だなと思って」
当時のバスケットボール界に必要なことは、まずは破壊だった。
「壊さないと新しいものはできない。俺が立ち上がらなくても、なんとかなったかもしれないけど、ちっちゃくまとまっちゃったんじゃないかな。二つのリーグがお互いに譲り合って一つのものを作ろうなんて発想では未来はない。こんなもん、なかったことにするぐらいじゃないと。だから、潰しにかかった」
そのため、性分でもある歯に衣着せぬ言い方にもあえてブレーキをかけなかった。衝突し、何かが破壊されれば、そこにまた新しいものが生まれる。ずいぶん前の話になるが、こんなこともあった。
「メディアの前で、『高校サッカーなんてダメだ』って言っちゃったことがある。『サッカーグラウンドの4分の1ぐらいの広さしかないのに部員が百人もいて、うまくなるわけがない』と。でも、その方がわかりやすいし、マスコミも取り上げやすいでしょう? 実際に名門校の名前を挙げてそう言ったんだけど、そうしたら監督さんが怒って抗議しに来たね(笑)。でも、それをきっかけに物事がぐぐぐっと動くことがある」
●撮影/太田真三
※SAPIO2016年12月号