芸能

『逃げ恥』と『ドキュメント72時間』 放送後の余韻に共通点

番組公式HPより

 ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏。今クールで最大の話題作、との評価を固めつつある『逃げ恥』とあるドキュメンタリー番組との共通点に着目した。

 * * *
 ガッキーこと新垣結衣主演のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系火曜午後10時)が回を重ねるごとに視聴率をアップさせ注目を集めています。ドラマの最後の“恋ダンス”がまたカワイイ、ムズキュンと話題をかっさらっている最中。

 けれど。ガッキーは好きでも、相手役の星野源がいまいち苦手、という人もいたり。あるいは、ラブコメにはちょっと感情移入できないという人も。そうした方々の受け皿?になっているかもしれない番組がひとつ。密かに、静かに、じわじわと人気の裾野を広げているその番組とは──?

『ドキュメント72時間』(NHK金曜午後10時50分)は、いわば定点観測ドキュメンタリー。一つの場所にカメラを据えて72時間、つまり3日間、そこに訪れた人に話を聞く、という実にシンプルな構成の番組です。

 隠れファンが多い、ということを実感したのは偶然でした。年齢も性別も仕事も違う人々が集った場でたまたま「72時間っていう番組知ってます?」と口にすると、いきなり激しい共感が。

「え、私も!」「僕も見てる」。老若男女が口々に熱い感想を語り始めたのです。こうも人の心を掴んでいる理由は何か? 視聴者はどこに惹かれているのでしょうか?

 番組の舞台は毎回変わります。コインランドリーだったり、定食屋だったり、ゴルフ場だったり。山の上のテント村といった個性的な場所の回もありましたが、たいていは日常的な場所。とりたてて派手な出来事がおこるわけではない。刺激的な内容が語られるわけでもない。平凡な人々。ありふれた風景。どこにでもありそうな「普通」の姿が切り取られていく。

 例えば、「新宿の画材店」にカメラを据えた回。墓参りのついで、という白髪の女性は色鉛筆をじっと見つめている。理由を聞くと「ふらっと立ち寄っただけ。色を見ると楽しくなるから」。

 焼き鳥屋の店長は、白いキャンバスを購入。「夜一人で抽象的な絵を描いています。楽しい。単なる趣味です」

 20歳の男性はスクリーントーンを物色。「ただの紙きれに絵を描くだけで世界が無限に広がっていくのが、すごい」

 団体職員という中年男性は、角材を購入。「空想の町の地図を作っているので。立体的な地図にするため、木片を使おうと」

関連記事

トピックス

滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
元・明石市長の泉房穂氏
財務官僚が描くシナリオで「政治家が夢を語れなくなっている」前・明石市長の泉房穂氏(62)が国政復帰して感じた“強烈な危機感”
NEWSポストセブン
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン