●その3 ビジネス書の受け売りをする
「デキるビジネスマン気分」をお手軽に覚えさせてくれることこそが、世にあふれているビジネス書の最大の役割と言っていいでしょう。読んでいるあいだだけは「生まれ変わった自分」になれたような気がしますが、たいていの場合は気のせいです。しかし、それはビジネス書のせいではありません。話題のビジネス書をチェックし、折に触れて受け売りのご高説を垂れましょう。聞くほうも「話題についていける自分」を見せたくて、感心しながら話を合わせてくれるので、自分がいっぱしの論客になった錯覚を抱けます。
●その4 武勇伝を盛り気味に披露する
「デキるビジネスマン気分」に浸りたかったら、武勇伝を披露するのがいちばんです。いちおう長くビジネスマンをやっていれば、まぐれで契約を取ったとか上司にホメられたとか女性社員とハズミで……とか、武勇伝のひとつやふたつはあるはず。客観的に見て、それが武勇伝と言えるほどのことかどうかは関係ありません。必要に応じて大めに盛りつつ、酒の席などで得意気に披露しましょう。聞かされる側も、こういうのはお互い様だと思って、話し半分に聞きつつ「へー、すごいですね」と感心してくれるに違いありません。
●その5 「大物」との関係を自慢する
「デキるビジネスマン気分」を実感しつつ、周囲にも自分がデキる人間であることをアピールしたかったら、いろんな「大物」との関係を自慢しましょう。どこそこの社長とはパーティで名刺交換したことがあるとか、有名人の○○は同じ高校の出身だったとか、どんな細い関係でもかまいません。聞かされた側は「それがどうした」としか思いませんが、自分自身がうっかり「それがどうした」と思いさえしなければ、尊敬や羨望の視線を浴びている気になれます。実際には人間としてのセコさを露呈しているだけだとしても。
それぞれ裏目に出る可能性はありますが、大きな成果をつかむためにはリスクがあるのは仕方ありません。失いかけている自尊心を取り戻すために、よかったらチャレンジしてみてください。もしかしたら、多くのみなさんがとっくに実践していることばかりかもしれませんが、意味や効果をあらためて考えることで、ますます張り切って取り組めるはず。万が一、急に恥ずかしくなって「うわー、やらないように気を付けよう……」と思ったとしても、それはそれで書いた甲斐があります。