都市部への人口流入で「墓じまい」が増えている一方、関連トラブルも後を絶たない。高額な撤去費用が必要になったり、数百万円もの離檀料を要求されたりするケースもある。
そうした問題が起きてきた「墓じまい」に今、“価格破壊”の波が押し寄せている。
この10月から、改葬にあたっての寺院・霊園との交渉などを「定額」で代行する新サービスを始めたのがユニクエスト・オンライン社だ。同社はこれまで葬儀費用や戒名料の定額化を打ち出したサービス「小さなお葬式」で話題となった葬儀業界のベンチャー企業だ。新サービス「お墓のお引越し」について同社広報担当者が説明する。
「このサービスの特徴は、これまで明確ではなかった墓じまい費用を『定額プラン化』したことです。基本プランは全国一律で24万9000円(3平方メートル以内)。お墓の撤去、ご遺骨の移転まで当社が代行します」
利用者は基本的に、移転元と移転先を知らせるだけで済む。「撤去、移転にかかる費用の一般的な相場は60万円くらい」(同前)というから、割安感も強い。なぜそんな価格設定が可能なのか。
「そもそも墓を建てる時の契約書に額が明記されていない限り、寺院が離檀料を請求できる法的根拠はありません。ご先祖代々のお墓の場合、契約書自体が存在しないことがほとんどですし、各宗派の本山も離檀料を取ることを認めていません。そうした根拠をきちんと説明することで、離檀料なしで菩提寺との話をまとめていきます。
代理で交渉するというとトラブルがこじれるというイメージがあるかもしれませんが、むしろ感情的な対立を排せる第三者が入ることでスムーズに話が進められると考えています。利用者の方には、“住職に手紙を書く場合はこのような形式がいい”といったアドバイスもしますが、ご挨拶の仕方などはご本人にお任せしています」