国内

視覚障がい者によるクルマ運転ツアー 大反響で毎回完売

アイマスクをしてブラインド走行を体験。“見えない”不安の恐怖は大きい

 大手旅行代理店・クラブツーリズム社が主催する「視覚障がい者自動車運転ツインリンクもてぎツアー」。“あり得ない”はずが、“むちゃくちゃ楽しい”ツアーになって6年、その始まりは、ある全盲女性のひと言だった。

 クラブツーリズム社に「ユニバーサルデザイン旅行センター」という、杖や車いすで参加できるツアーの専門部署がある。前身の「バリアフリー旅行センター」時代から20年の歴史をもつバリアフリー旅行のプロ組織だ。

 今から11年前、そんなツアーの1つに参加していたある女性から、「一生に一度でいいから、クルマを運転したい」という要望があった。彼女は全盲だった。

「運転免許なしで経験ゼロ、視界ゼロでの運転。でも、広い走行コースと補助ブレーキ付きのクルマがあれば、できるんじゃないかと考えたんです」(同センター課長・渕山知弘さん)

 準備に5年かけ、2010年に自動車教習所とタイアップして第1回目のツアー参加者を募集。すぐに定員16名は満員となり、その反響の大きさに驚いた。

 2012年からは、場所を現在の「ツインリンクもてぎ」(栃木県芳賀郡)に移し、全国から集まった参加者は、1泊2日の滞在中、広々としたサーキットで、プロの運転指導員にサポートしてもらいながら、ひたすらクルマの運転を楽しむ。

「クルマを運転するという、目の見えないかたがたが諦めざるを得なかった夢。最初は不安そうな顔をなさっていても、周回してクルマを降りる時には生き生きとした表情になってらっしゃる。リピーターのかたが多く、おかげさまでツアーは毎回完売です」(渕山さん)

 ツインリンクもてぎ アクティブセーフティ トレーニングパーク所長代理・佐藤秀徳さんも、

「指導員が同乗して運転をサポートさせていただくのですが、周回を重ねるうち、時速40kmぐらいで走行できるようになります。みなさん、雨でもまったく気にしない。自分で運転している自信と楽しさが伝わってきます」

 と、話す。このツアーは今年9月に第2回ジャパン・ツーリズム・アワード「国内・訪日領域優秀賞」も受賞した。

※女性セブン2016年12月1日号

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