1976年のテレビドラマ『人間の條件』(フジテレビ)では初の主演も果たしている。
「とにかく仕事をしたい、と思っていました。それでオーディションを受けて、錚々たる役者さんが来ている中で勝ち残ることができました。
あれは三か月くらいの撮影で、最後は餓死するという役でしたので、だんだんと食べるものを減らしていったんですよ。それが凄く厳しくて……。最後の雪のシーンでは貧血になって目の前が真っ暗になって気絶してしまいました。それで撮影が少し中断になったんです。
映画で仲代達矢さんが演じた時のフィルムは何度も見させていただいたのですが、こちらのは戦争ものとはいっても昼の帯ドラマなので、夫婦の愛がメインの話なんですよね。それで、結構ラブシーンも多くて。そこはなかなか難しかったです」
●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。
◆撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2016年12月2日号