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オバマとトランプ 握手に見る力関係と腹の内

 互いに指を広げ右手を差し出した2人。まっすぐ差し出したと思ったその瞬間、トランプ氏の手の甲がわずかに上を向いた。すると、それを瞬時に捉えたのか、オバマ大統領はグッと奥歯を噛みしめると、差し出した右手の親指をさらに立てた。

 相手より優位に立ちたい、服従させたいという時は、手の甲を上に向けた握手が効果的だ。特に初対面の相手をコントロールしたい場合は、握手の仕方が相手を心理的にねじ伏せるきっかけになる。逆に、手の平を上に向け、下から相手の手を持ち上げるように握手をしてしまうと、相手に主導権を握られてしまう。

 不動産王として成功を収め、次期大統領に上り詰めたトランプ氏にとって、手の甲を上に向けた威圧的な握手が習慣なのだろう。しかし相手は現職大統領。そう簡単に主導権を与えるはずがない。

 上から手をかぶせるように握手しようとするトランプ氏に、オバマ大統領は立てた親指を相手の甲に深くかぶせ、力を入れて握手した。相手より優位に立とうとする2人の握手は、力がぶつかり合い、互いの手の平がほぼ縦になる“対等な握手”の形になった。

 だが次の瞬間、オバマ大統領はその手にギュッと力を込め、トランプ氏の手を振ったのだ。握られているトランプ氏の手の甲が、少しずつ白くなっていく。知り合って間もないうちから、相手を支配しておこうという気持ちが働くと、人は握った手に力を入れるという。

 協力していこうと固く手を握り合った…と思いたいところだが、残念ながらそれは違う。その瞬間、両者は目を合わせず、互いに歯をくいしばっていたのだから、好意的な協力関係が土台にないのが見てとれた。

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