防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏もこう評価する。
「NHKをはじめ各局は、3.11以降、社内で検討会を繰り返し、私もNHKや民放連の講演に呼ばれました。『子供にもお年寄りにも分かるような言葉を』『耳の不自由な人もいるので、端的なテロップを』といった提案をしましたが、それぞれが工夫した放送をしていました。
メディアの人は、情報は全国に訴えるものと考えていたはずですが、災害発生時に命に関わる津波の到達地域だけに呼びかける放送でいいんだ、というように考えが変わった。3.11の教訓だと思います」
その上で山村氏は、避難する人に対する注意点を指摘した。
「避難の呼びかけが分かりやすくなった弊害で、みなが一斉に避難するようになり、車の渋滞が起こりやすくなった。車を使わない範囲で行ける高台の公園などの避難場所を確認しておいたほうがいいでしょう。テレビを見て外に逃げた後、スマホだけでは電池切れやネットが繋がらないリスクもある。避難場所に行けば、情報は随時届けられます」
どのように情報を取るかが、生死を分ける。テレビ局も私たちも、そのことを改めて肝に銘じたい。
※週刊ポスト2016年12月9日号