経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、ピコ太郎大ブレークの理由を心理学的に分析。
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今年の「新語・流行語大賞」のトップ10にもランキング入りした「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」。ピコ太郎は、瞬く間に世界的にブレークをし、You Tubeの再生回数は3週連続世界1、様々な国で「PPAP」のカバー動画やオリジナル動画をアップする人が続出。
中高生を中心に口コミで拡散されていたところに、ジャスティン・ビーバーが「PPAP」をお気に入りの動画とツィート。ピコ太郎本人が言う、この「ジャスティン・インパクト」で、あっという間に爆発的ブームとなった。だけど、いったいなぜ、ピコ太郎はこんなに世界中でウケたのだろうか?
聞かれたピコ太郎も、「本当に世の中わけがわかりません」と某CM発表会で答えている。見た目のインパクトもさることながら、マスコミやネットで挙げられているのは…
・歌詞が世界中の人がわかる単純な英語
・1分ほどでの短い動画は、ネット配信のタイム感と合っている
・リズミカルでレトロなテクノサウンド
・パ行を使った破裂音で、響きがよく耳に残りやすい謎の歌詞
・真似しやすい振り付け
…などだ。だけど、ウケた理由はこれだけだろうか?
「PPAP」は、ピンクとブルーの色文字画面とピコピコという耳触りのいいかわいい音から始まる。が「意味不明のタイトル出現…?」と思った途端、パンチパーマにヒョウ柄衣装の中年男が、緊張しているのか、不機嫌なのかわからない顔で登場。すると男の表情が一変し、突如、楽しげにコミカルに踊り出す。そして、架空のペンとアップルを手にすると、1拍分のタメでワクワク感をアップさせ、思い切りよくその2つをドッキング…。
たったこれだけの曲と映像に人々が惹きつけられたのは、想像したイメージを裏切る展開の意外性と、そこからくるギャップの連続効果だろう。
人は意識せずとも、見たり聞いたりした物に、心の中でなんらかのイメージを想像するものだ。ピコ太郎というネーミング、色文字と音のかわいさからくるイメージを、ド派手で強面の中年男が裏切る。怖そう、やばそうなイメージが脳裏にチラリと浮かぶが、笑顔とゆるくてお茶目な振り付けが、それを裏切る。
曲のタイトル、強面の中年男、リズムと振り付けがすんなり結びつかず、何が起きているのか、頭の中はそれらを関連づけようとフル回転。そこにさらに出てくるペンとアップル。その関連性が、これまた頭の中でつながらない…。