◆踊り子と観客が一体になった第一級のエンターテインメント
浅草ロック座には熱烈な常連ファンが多い。お気に入りの踊り子のステージが始まると、持参したナイロン製のリボンを歌舞伎で行なわれる蜘蛛の巣のように投げる通称「リボンさん」が有名だ。常連客の中でも「応援さん」と呼ばれ、踊り子と観客が一体になって盛り上がる。また、近年は女性客やカップルの急増という大きな変化が起きている。
「AVでアイドル的な人気の踊り子には女性ファンも多いですね。そんな子が出演すると、女性客も急に増え、コンスタントに一日平均20人くらい来てくれます」(「浅草ロック座」総合演出・永島明男氏)
埼玉・浦和から来たという68歳の常連の一人は、浅草ロック座の魅力を次のように語る。
「一般料金は5000円ですが、65歳以上のシルバー世代は4000円。これで昼過ぎから一日中楽しめるのだから安いものです。以前はキャバクラにも行ってましたけど、今はこっち一本。週3回は来てます(笑い)」
入場者の入れ替えはなしで、弁当や飲み物などの持ち込みも自由。ロビーの奥にはバーも用意され、手ごろな料金で軽食やアルコール、ソフトドリンクが注文できる。
「40日ごとに演目を一新し、20日ごとに踊り子のキャストチェンジをするサイクルで、常に新しいステージを楽しめます。目の前で踊るリアルな踊り子の姿は、バーチャル全盛の今の時代では決して見ることのできない迫力があると思います」(永島氏)
古くて新しい第一級のエンターテインメントが、ここにある。
撮影■橋本雅司 取材・文■末並俊司
※週刊ポスト2016年12月16日号