芸能

創立70年の浅草ロック座 VRでは感じられぬリアルの迫力

踊り子全員で舞台に立ち拍手喝采を浴びるフィナーレ

 岩戸の奥に隠れた天照大神を誘い出すため、裸になって踊った天鈿女命(あめのうずめのみこと)──神話を持ち出すまでもなく、元来日本人はストリップに寛大である。興行としてのストリップが誕生した経緯は諸説あるが、戦後間もない日本国憲法が施行された昭和22年、東京・新宿の劇場「帝都座」で上演された、額縁式のセット越しに半裸の女性が立つ「額縁ショー」が嚆矢とされる。

 浅草ロック座が誕生したのもこの年。来年、創立70年を迎える日本最古のストリップ劇場には、今も毎日5回、年間364日(大晦日だけ休場)休みなく踊り子たちが楽しげに艶めかしい肢体を舞台で見せる。「ここは他の劇場とは比較にならない風格があります」と語るのは、2014年から踊り子たちを撮り続ける写真家・橋本雅司氏。

「客席数145は全国に20数軒あるストリップ劇場の中で規模も動員数も最大級。ここでしか踊らないという踊り子も多く、バレエコンテストの元ファイナリストという異色の経歴の子もいます。まさにストリップ界の聖地なのです」(橋本氏)

 ストリップ劇場の歴史をひも解けば、昭和30年代から高度経済成長の波に乗り、右肩上がりの勢いで人気を掴んだ。全国に劇場が乱立し、浅草だけでも12軒の劇場が生まれた。ストリップ劇場は一般芸能との関わりも深く、ショーの幕間にコントや漫才も行なわれるようになった。渥美清や三波伸介、萩本欽一、ビートたけしなど、ストリップ劇場出身の芸人は枚挙にいとまがない。

 一方、出演をきっかけにアイドル的な人気を博した踊り子もいた。横浜の劇場でデビューした一条さゆりは、その後テレビ『11PM』(日本テレビ系)にレギュラー出演、自身の半生を描いた映画『一条さゆり 濡れた欲情』も大ヒットした。

 昭和50~60年代にかけて黄金期を迎えたストリップ界だったが、アダルトビデオ(AV)の登場やインターネットの普及が逆風となり、その後凋落の一途を辿る。温泉場などの小さな劇場を含めると、全国に300軒近くあった劇場は10分の1に減少した。

 縮小する業界にあって、浅草ロック座だけは別格だった。連日花束を持った観客が訪れ、今も劇場の前に行列ができることも少なくない。その秘密は、ここでしか見ることができないステージがあるからだ。

「浅草ロック座は、ただ裸を見せるだけのストリップ劇場ではありません。群舞を中心とした本格的なダンスや、独自の世界観を表現するステージ構成を舞台の柱にしています。

 それを支えるのが、初日前となれば徹夜で続く厳しい舞台稽古。踊り子たちは圧倒的にAV出身が多く、ほとんどが舞台経験ゼロなので皆苦労しています。振付師の指示通りに踊れず、泣き出す子もいます。それでも投げ出さず、本番当日にはキッチリ仕上げてくる。これがロック座の持つ磁力であり、伝統になっているのです」(橋本氏)

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン