国際情報

韓国大統領はなぜ霊媒師や風水師の言いなりになるのか

韓国社会には奇妙な信仰心が浸透している

 現職大統領による国家機密漏えい事件で大きく揺らぐ韓国社会。朴槿恵大統領はなぜ、怪しげな宗教者の言いなりとなったのか。産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏が、韓国社会に浸透する「信仰心」の罠に斬り込む。

 * * *
「朴槿恵─崔順実スキャンダル」は、ネットを中心に“ムーダン疑惑”として嘲笑の対象になっている。ムーダンとは、韓国の伝統的な霊媒・占い師のこと。「朴と崔」の関係は、崔の父・崔太敏が“牧師”と称し、霊媒師紛いの言辞で朴槿恵の心を掴み、その後、一家をあげて彼女に食い込んだことから始まった。

 ちなみに韓国でのムーダン文化の一端を紹介すると、筆者の知人の祖母がムーダンの病気治療や人生相談に凝っていて、ある時、ムーダンの言いなりになって300万ウォン(約30万円)を献金したという。「日ごろ子供たちからもらっている小遣いを貯めていて、それをみんなはたいてしまった。ったくもう……」と知人は大いに嘆いていた。

 先年、不正経営で逮捕された某大財閥の首脳が、企業投資の展望を専属のムーダンに頼っていたとして話題になっている。それを笑ったところ、別の知人は「日本でも会社や家庭に鳥居や神棚があって拝んでいるそうじゃないですか」と逆襲(?)してきたが。

 ところで、「魏志倭人伝」に登場する有名な邪馬台国の女王・卑弥呼は「鬼道に事え、能く衆を惑わす」とある。「鬼道」とは霊媒・占いのこと。大昔、原始集団において王の支配権を支えたのは、そうした呪術的超能力だった。卑弥呼も朝鮮半島系だったか?

 ただ、現在の韓国は正統派のキリスト教が社会的、政治的に大きな影響力をもっている。ムーダンなどの“伝統宗教”は邪教的として表向きは非難、排斥されがちで、現実政治に入り込む余地はない。

 現実政治への影響では、日本流に言えば陰陽道である「風水」信仰の方だ。山や川などの自然環境から人や国家の運勢を占うものだが、大統領選をはじめ韓国の政治や社会を左右してきた地域対立には、この風水説があると言われてきた。

 地域対立とは簡単に言うと、韓国南西部の全羅道に対する差別意識のことである。全羅道は金大中政権(1998-2003年)誕生で1000年ぶりに権力を握りはしたが、今なお野党勢力の牙城であり、社会的に他地域における差別意識は消えていない。

 その差別の背景には高麗朝(10-14世紀)の始祖・王建が残した遺言があるというのだ。

「全羅道は人に背く地勢だから権力に近付けてはならない」という、まさに風水説である。今も韓国社会に残る全羅道差別意識の根源は「信用できない、いつかは裏切る」だ。外国人にはなかなか実感できないけれど。

※SAPIO2017年1月号

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン