本誌・週刊ポスト11月25日号の特集記事「『塩分を減らせば血圧下がる』は間違いだった」は大きな反響を呼び、他の週刊誌も「減塩と血圧」に関する特集を組んだ。
さらに本誌が前号で「『降圧剤』やめても問題なかった」と特集すると、「やめたいと思っているのだがどうすればいいのか」という読者からの問い合わせが殺到した。その声は切実だ。
「血圧の上(収縮期)が140(mmHg)を超える時期が続いて、医者から念のためと言われて薬を飲み始めた。今は130以下まで下がったけど、薬は止めていない。主治医から指示がないし、止めてまた上がったらどうしようという不安がずっとある」(64歳男性)
「試しに薬の量を半分にしてみたら、2週間ぐらいで血圧がまた高くなってしまった。血圧を測って前より上がっていたときの恐怖心はすごい。さらに上がったらどうしようと思って、元通りに飲むようになった」(62歳男性)
彼らに共通するのは、血圧が上がることに対する不安や恐怖心だ。その判断基準となっているのが、日本高血圧学会が定める「高血圧」の基準値である。2014年のガイドラインでは、まず130以上を正常高値血圧と呼び“高血圧予備群”として注意を促し、さらに140以上を「高血圧」と分類し、治療対象にしている。これをもとに、40~74歳の全員を対象としたいわゆる「メタボ健診」(特定健診・特定保健指導)では、血圧130までを「基準値」とし、それ以上を指導するようにしてきた。
そのガイドラインによって、いまや高血圧の治療対象者は1000万人を超え、70歳以上では5割以上が降圧剤を処方されている。高血圧は「新たな国民病」であり、だからこそこれほどの関心を生んでいるのだ。
だが、ここに大きな疑問がある。そもそもあなたは、本当に高血圧なのか──。