本誌は今から2年前の2014年、「血圧147は健康値」という大特集を組んだ(5月12日号)。日本人間ドック学会が同年4月、健康保険組合連合会との共同研究による「新たな健診の基本検査の基準範囲」と題した報告書を発表。約150万人に及ぶ人間ドックの健診受診者のデータから、健康な人の「正常な基準範囲」の上限として、現行基準よりも大幅に緩い147という数値を公表した。

 これまで高血圧と診断されていた人たちが「正常」となるならば、いったいこれまでの基準値は何だったのか──本誌がこの報告を大々的に報じたことで、血圧の基準値をめぐる大論争に発展した。

 しかし、この人間ドック学会の発表に対し、他の学会が猛反発した。高血圧学会は〈健診受診者でこの血圧値の場合、本当に「正常」といえるか不明であり、「要再検査」のレベルです〉と疑問を呈し、動脈硬化学会は〈人間ドック学会の「基準範囲」は日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねない危険なもの〉と強く批判した。製薬業界からも反発の声が上がったという。

 その結果、発表当時は本誌の取材に「今後5~10年かけて追跡調査をすれば、さらに精度は高まるはずだ。将来的に統一された健診の基準値としたい」(山門實・学術委員長)と言っていた人間ドック学会はその後、「あくまで健康の目安であり、病気のリスクを示したものではない」とトーンダウンしてしまう。

 そのまま基準値についての論争は封殺され、現在に至る。2年後の今もなお、基準値は変わっていない。

※週刊ポスト2016年12月23日号

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