医療系情報キュレーションサイト「WELQ(ウェルク)」を発端とした、キュレーションメディアをめぐる騒動が続いている。ネット時代の編集者、ライターとは、どのような職業になったのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が考察する。
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身体に不調を覚えたら、ネットでその症状を検索する人も多いのでは。「血圧下がらない」や「嘔吐 黄色い液体」などと入れ、検索上位に表示されたサイトを見ては「ははーん、胃酸が出過ぎているんだな。なになに、このサプリメントを飲めばいいのか!」などとやっているのではないだろうか。
検索の上位にあるから信頼できる、ということを完全に覆す騒動がここしばらくネット業界を騒がせている。DeNAが運営する医療関連情報サイト「WELQ」の記事が他サイトのコピペだらけで、パクったものの語尾を変えるなどするだけで、あたかもオリジナルの記事を出しているかのようにしていたのだ。
たとえばとあるクリニックのHPから該当するテーマの記事を見つけ、それをコピペ。「さらに」という言葉が元記事にあったら「続いて」に変えるといったやり方だ。「と考えられる」という一節があったら「とも解釈することができます」と変更し、逃げの手を打っておく。
記事の中には、某サプリメントが放射線障害に効果があるといった、インチキ極まりないものもあり、これが「信頼に値するサイト」として検索エンジンから優遇され続けてきたのである。結果的にWELQの記事は非公開となり、これに肝を冷やした別会社も、同様のサイトの一部記事を削除した。
ここでネット時代における編集者の役割について考えていきたい。
ここ4年ほど、「簡単に始められる!」とばかりにネット上でメディアが続々と誕生しては消えていっている。メディアの目的は多くのアクセスに伴う広告費の獲得だ。彼らの検索エンジン対策は見事なもので、インチキでありながら立派に上位に登場させる技術力だけはあったのだ。