ライフ

焼き鳥論争 串から肉を外すと本当に味は変わるのか

串のまま食べるべきか、串から外すべきか

 ある焼き鳥店店主がブログで「串から外してシェア」は凄く悲しい、串から食べるほうが美味しいのだから、外さずに食べてほしいと訴えた。この内容が反響を呼び、ネット上では串から食べる派と串外し容認派に分かれ、論争が続いている。もっとも、焼き鳥の食べ方の常識は昔とは様変わりした面がある。『やきとりと日本人 屋台から星付きまで』の著者、土田美登世氏が解説する。

「昔は串のままでかじりつくのが当たり前でしたが、平成に入り“オヤジギャル”がサラリーマンの聖地だった赤ちょうちんの居酒屋や焼き鳥屋に出没するようになり、焼き鳥を串から外す文化が生まれました。店側もそうした客層の変化を受けて、大正10年創業の老舗焼き鳥店『京橋伊勢廣』(東京都中央区)さんが、焼き鳥を串から外すための専用フォーク『チキナー』を開発したほどです」

 では、ブログを書いた焼き鳥屋店主が主張するように、串を外す、外さないで味は変わるのだろうか。土田氏は「味は変わる」と言う。

「“串から外すと冷めやすいし、閉じこめた肉汁がこぼれてしまう”と嘆く料理人が多く、私もその意見に賛成です。でも、何より気分の問題。片手で食べるために串があり、わざわざ外して箸で食べる意味もわかりません。“肉を頬張る”という行為には高揚感がつきものですが、それを満たすのが串付きの焼き鳥なんです」

 ただし、土田氏はこう付け足す。

「美味しく味わう前にこんな論争の方が過熱していては、焼き鳥が嘆いている気がしますけどね」

 見た目を気にするか、味を重視するか。その判断は、焼き鳥が冷めてしまう前に。

※週刊ポスト2016年12月23日号

関連キーワード

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン