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胡錦濤前主席の入院長期化で次期党大会に向け影響力低下も

前国家主席の影響力に変化が(写真・アフロ)

 中国の胡錦濤・前国家主席が最近、心筋梗塞の発作で一時重篤な状態となり北京の中国人民解放軍直属の「三〇一病院」に緊急搬送されていたことが分かった。入院は長期化する見込みだ。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「明鏡新聞網」が報じた。

 中国では2017年秋、5年に一度の中国共産党全国代表大会(党大会)を控えており、すでに最高指導部人事をめぐって、習近平国家主席ら太子党(高級幹部子弟)グループと、胡氏を中心とする中国共産主義青年団(共青団)閥の権力闘争が激化。胡氏の入院による発言力低下で、共青団閥の凋落傾向は確実とみられる。

 胡氏はパーキンソン病や心臓の血管系の病気を患っており、2013年春の引退後、入退院を繰り返していた。そして、昨年9月の抗日戦争勝利70周年記念の大規模軍事パレードでは、天安門楼上で閲兵中の胡氏の両手が小刻みに震えている様子が生中継のテレビ映像ではっきりととらえられ、これを契機に胡氏の動静が伝えられることはほとんどなくなっていた。

 11月中旬、北京市人民代表大会委員(市議会議員に相当)選挙の投票が行われたが、5年前の選挙で胡氏は居住地の選挙区の投票所に自ら赴いていたが、今回姿を現さなかったことから、重病説がささやかれていた。

 胡氏は党総書記経験者として、党人事では一定の発言力を有しており、9000万人もの青年組織である共青団人脈を束ねる中心人物。次期党大会に向けて、共青団出身の李克強首相の留任や胡春華・広東省党委書記、李源潮・国家副主席、汪洋・副首相ら共青団閥有力者の党政治局常務委員会入りを強力に推進してきた。

 しかし、ここにきて、習氏が来年の党大会で引退確実とみられていた王岐山・党中央規律検査委員会書記の留任や他の太子党閥有力幹部の最高指導部入り画策するなど巻き返しを図っている。

 明鏡新聞網は北京の党幹部筋の話として「党大会を1年後に控え、権力闘争が激化しているなかでの胡錦濤氏の不在は共青団閥とって大きな痛手だ。李首相の全国人民代表大会(全人代=国会)委員長への転出など、主要ポストを習氏の側近が独占する動きも本格化しそうだ」と報じている。

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