ライフ

死に至る恐れもある低血圧を防ぐための食事法と入浴法

低血圧は死に到る恐れも

 ベッドや椅子から急に立ち上がった時、足元がふらつく。これは「低血圧」が原因の可能性がある。低血圧は高血圧を上回る1700万人もの患者がいるといわれ、脳梗塞や認知症などの重大疾患につながるリスクもある。血圧は「高くなければいい」というのは間違いのようだ。ちなみに高血圧患者は1010万人である。

 食後に倒れる「食後性低血圧」は高齢者に起こりやすい。愛媛大学神経内科医長の小原克彦教授の話。

「食事をすると、『血管拡張性ペプチド』というホルモンが分泌され、消化のために血液が大量に腸に集まります。このために脳の血圧が下がって酸素や栄養が不足することで起こるのが食後性低血圧です。自律神経機能が衰え、血圧の調節機能が低下している高齢者や糖尿病患者に起きやすい」

 冬場に風呂場で亡くなるケースが多いのは「入浴時低血圧」だ。熱めのお湯に浸かって血圧が急上昇したのち、脱衣所などが寒くて気温差があると、血圧が急降下して低血圧を引き起こす。

 これらの低血圧は、慢性的に血圧が低い中高年のリスクが大きいが、特に注意を必要とするのが、一見対極に位置する「高血圧患者」だと、『本当は怖い「低血圧」』の著者で、千代田国際クリニックの永田勝太郎医師が警鐘を鳴らす。

「降圧剤を服用していると、寝ている間に血圧が下がり過ぎて、夜中にトイレに行こうと立ち上がったときに倒れて失神する起立性低血圧になることがとても多いのです」

 食後性低血圧、入浴性低血圧も同様で、高血圧の高齢者ほど「低血圧に気をつけなければならない」のだ。

 では、「死に至る低血圧」を防ぐにはどうすればいいのか。前出の小原氏がいう。

「寝た状態や座った状態だけでなく、立った状態の血圧も測定しておくことが大切です。座って計測後、1~3分後に立った状態で測る。立った状態で上で21mmHg以上下がるという場合には注意が必要です」

 日頃から予防を心がけるにはどうしたら良いのか。前出の永田氏がこう話す。

「いきなり立ち上がることは避けましょう。食事も、大量に食べると食後に血圧の上下が激しくなるので量を控える。風呂上がりには、湯冷めしないようにするだけで十分低血圧を予防できます」

 血圧は「低すぎる」状態にも注意が必要なのだ。

※週刊ポスト2016年12月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト