芸能

『逃げ恥』 過去のお化けドラマ『ミタ』『半沢』との共通点

番組公式HPより

 突飛な契約結婚が紡いだ物語は、2016年を代表する作品となった。五感生活研究所代表の山下柚実氏が過去の名作と比較した。

 * * *
 数年に一度、生まれてくる「お化けドラマ」。今年も、世の話題をさらってしまう作品が生まれました。『逃げるは恥だが役に立つ』は総合視聴率(リアルタイム視聴率と録画での視聴率の合計)30%超を記録。テレビ離れが叫ばれる昨今にこの数字。まさしく「お化けドラマ」。

 聖地巡礼、ムズキュン、恋ダンス……いくつもの現象を生み出して世の中を『逃げ恥』色に染め上げたパワーに、脱帽です。

 それにしてもなぜ、このドラマが老若男女を巻き込んで多方面から楽しまれたのか? 『逃げ恥』にはおそらく従来の「恋愛ドラマ」の枠には収まりきらない、人と人との関係についての深い問いかけが潜んでいたからでは?

「愛情の搾取に断固反対します」

「みくりさんが閉じたシャッターは、いつか僕が閉じたものと同じかもしれない。だとしたら僕は開け方を知っている」

「自分に呪いをかけないで。そんな恐ろしい呪いから、さっさと逃げてしまいなさい」

「運命の相手って言うけど、そんなのいないと思うよ。運命の相手にするの」

 数々の名セリフ。一見コメディタッチで軽やかだけれど、本質に届くような鋭く味わい深いセリフがいくつもあった。見えてくるのは、既存の「男と女」「人対人」の関係をどうやって心地よい方向へもっていけるか、再生できるか、というテーマでした。

 振り返ると、2016年は「ゲス不倫」が流行語に。人と人との関係について、実に話題が沸騰した年でした。そんな社会の姿とこのドラマのテーマは、どこかで関係し合っていたと言えるのかもしれません。

 あらためて、ここ数年の「お化けドラマ」と世の中との関係を振り返ってみると──。

『家政婦のミタ 』(日本テレビ)が最高視聴率40%を記録したのは2011年。無表情でロボットのように淡々と仕事をこなす家政婦・三田(松嶋菜々子)。どんな無謀な要求にも「業務命令でしょうか」「承知しました」と機械的に実行。

 しかしそんな家政婦の型破りな行動によって、バラバラだった家族は「絆」を取り戻していく──不思議な物語でした。このドラマのテーマは、「家族の再生」。その2011年、最大の出来事といえば3.11東日本大震災。この年の漢字として選ばれたのは「絆」。まさしく世の中とドラマとが響き合い、世相を映していたように感じます。

関連記事

トピックス

大谷翔平の最新ヘアスタイル
【爽やか新ヘアの裏側】大谷翔平をカットしたのは“美容師界の東大”有名サロンの海外1号店だった 真美子夫人と一緒に“ヘアカットデート”
女性セブン
田村瑠奈被告
【戦慄の寝室】瑠奈被告(30)は「目玉入りのガラス瓶、見て!」と母の寝床近くに置き…「頭部からくり抜かれた眼球」浩子被告は耐えられず ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
日本アカデミー女優のもたいまさこ
《人気女優・もたいまさこの現在》ドラマ『やっぱり猫が好き』から36年、目撃した激やせ姿「出演予定の作品なし」の引退危機
NEWSポストセブン
5月27日に膵癌のため76才で死去した今くるよさん(写真は2007年)
《追悼・今くるよさん逝去》弟弟子の島田洋七が明かした意外な素顔「マンションの壁をぶち抜き」「特注のステージ衣装を“姉妹”で150着」
NEWSポストセブン
ギリシャ訪問を無事終えられた佳子さま(時事通信フォト)
佳子さま、ギリシャ訪問時のファッション報道がフィーバー「北風と太陽」注目されるプリンセスの動向
NEWSポストセブン
日本中を震撼させた事件の初公判が行われた
【絶望の浴室】瑠奈被告(30)が「おじさんの頭持って帰ってきた」…頭部を見た母は「この世の地獄がここにある」 ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
愛子さま
愛子さま、近い立場で他愛のない話をできるのは佳子さまだけ 「どこのコスメを使われているのですか?」と真剣に相談も
女性セブン
容疑者
《ススキノ・ホテル殺人》初公判で判明した「瑠奈ファースト」な一家の歪み「母親が書いた奴隷誓約書」「父親はドライバーさん」
NEWSポストセブン
世界で活躍する真田
【全文公開】真田広之がサシ飲みでエール 俳優転身の次男・手塚日南人が明かす“知られざる離婚後の家族関係”
女性セブン
手指のこわばりなど体調不安を抱えられている(5月、奈良県奈良市
美智子さま「皇位継承問題に口出し」報道の波紋 女性皇族を巡る議論に水を差す結果に雅子さまは静かにお怒りか
女性セブン
高橋一生&飯豊まりえ
福山雅治&吹石一恵、向井理&国仲涼子、高橋一生&飯豊まりえ…「共演夫婦」の公私にわたる絶妙なパワーバランス
女性セブン
小学館が公表した「調査報告書」より抜粋
ドラマ『セクシー田中さん』脚本家の交代要請は妥当だったのか 小学館調査報告書のポイント
NEWSポストセブン