国内

「除夜の鐘うるさい、打つな!」のクレーマーは罰当たり!

クレーマーの心理をオバ記者が考察

 女性セブンのアラカン名物記者“オバ記者”こと野原広子が、世の中の不条理にメスを入れる! 今回は「除夜の鐘」にまつわるお話です。

 * * *
「除夜の鐘の音がうるさい」と匿名のクレーム電話が入って、鐘を打つのをやめたお寺が話題になっている。450年以上の歴史を持つ寺に、2年連続で、非常に強い言葉でののしった人がいたのだとか。

 んもう、何考えてのクレームか、まったくわからないわ。いくら神も仏もない世の中でも、除夜の鐘にけんかを売ってどうするの。ありがたい鐘を「やかましい!」と怒ったりしたら、罰が当たるよ。

◆僧侶は除夜の鐘の由来や、108つの人間の業を説いたのかしら

 それにしても匿名クレーマーの「やめろ」を鵜呑みにした僧侶もどうかと思わない? 鎌倉時代から始まった除夜の鐘の由来や、108つの人間の業ごうとは何か。熱をこめて説得したのかしら。

 たとえクレーマーが、仏教とは関係ない宗教の人だったとしても、「ゴーン」という厳かな音で、一年を振り返るご檀家をどう思う。

 縁のあるお寺に、遠くから足を運んで鐘をつく人だっているよ。その人たちの願いを、断ち切る覚悟はおありかと、千の言葉をつくしてこそ僧侶でしょうが。

◆自分に非がなく、絶対正義を振り回せる機会到来!

 一方、私がそのクレーマーになったのは、住んでいたアパートの隣が取り壊しのとき。朝10時から始まって、12時、15時の休憩まで大騒音、だけじゃないよ。ずーっと小刻みに家が揺れているの。

 音は耳栓で防げても、家全体の揺れの気持ち悪いこと! おまけに顔すら合わせたことがないお隣は、建て替えの挨拶にも来ない。

「どういうことですか? どのくらいの期間、私はがまんすればいいんですか」と、まずは建設会社に軽~いジャブ。そうしたら担当者と名乗る男は、「予定では取り壊しは5日間です」と、シャラ~ッと言うではないの!

「ちょっと待って。なぜ最初に詫びないの。それとも何ですか? 隣に住んでいるなら、音と揺れくらいがまんしろと、ああ、言えるものなら、言ってみなよ」

 こっちもモードが変わってけんか口調。それからは、打ちっぱなしの言いたい放題。

「目が怖い」と、友達に言われたね。自分にまったく非がなく、絶対正義を振り回せる機会なんてそうないもの。

 結局、建設会社は、近所のホテルを2泊とって「勘弁してください」で手打ち。そのとき、ちょっとがっかりしたというか、相手を完膚なきまでにやっつける快感に、もう少し浸っていたいな~と思ったんだよね。

 テレビを見ていても街を歩いていても店に入っても、くさくさすることは山ほどある。けんかの火種を充分に育てて、できれば匿名のネットで、言葉の限りを尽くしてウサを晴らせたら、どんなにスッキリするか。

 でもなぁ。「それをやっちゃあ、オシマイよ」と、会ったこともない先祖だか、お天道様だかが私の耳にささやくのよ。仏事が多い年末年始は特にね。

※女性セブン2017年1月5・12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン