• TOP
  • 国内
  • 1970年代の食卓 電子レンジ使用拒否や「飽食の時代」化

国内

2016.12.30 16:00  女性セブン

1970年代の食卓 電子レンジ使用拒否や「飽食の時代」化

「最初に出演した時は、まだ学生だった息子や娘に持たせているお弁当を紹介しました。その後も、当時は干物が安かったので干物の南蛮漬け、ひじきの煮物、ドライカレーとか。毎日のおかずなので、あらかじめ作っておける常備菜なども紹介していました。日頃から、どうしたらおいしく簡単にできるかを工夫しています」

 家庭の夕食の献立は、その時々の景気にも大きく影響された。1973年にオイルショックが起きて不況が訪れると、節約料理が増え、1974年には『きょうの料理』の献立の予算は「4人分500円」が目安に。家計の「やりくり」が主婦の腕の見せ所だった。

 共働きの夫婦も増えたため、忙しい女性が短時間で作れるスピード料理がもてはやされるようになったのもこの頃からだ。

“時短”の大きな味方となる電子レンジが一般家庭に普及し始めたのは、1970年代の中頃。当初は「レンジでチンする」が、料理の「手抜き」と受け止められることも少なくなかった。『きょうの料理』に登場する講師の多くも「蒸し器や鍋を使ったほうがおいしいに決まっている」と、電子レンジの使用を拒んでいたというから抵抗感の強さがわかるだろう。

 料理がお手軽になり、外食の機会も増える一方で、この頃から多くの日本人が過去に経験したことのない問題に直面し始める。それは成人病、今でいう生活習慣病だった。

「“飽食の時代”という言葉が生まれ、グルメ志向や大量生産の加工品は、油脂の摂りすぎによる“一億総肥満化”をもたらしました。『きょうの料理』では1972年にすでに『40歳からの食事』を特集しています」(河村さん)

 1979年、前出・堀江泰子さんは医師の日野原重明さんと組んで「成人病予防レシピ」の特集を手がけ、高血圧を予防する料理を考案した。

 泰子さんの娘で、当時、泰子さんのスタッフとして番組に参加していた料理研究家の堀江ひろ子さんが語る。

「母は塩分を減らしてもおいしく食べられるものを、と試行錯誤を続けていました。そしてあみ出したのが、牛肉の酢じょうゆ漬け。牛肉の赤身を焼いて、たまねぎと共に酢じょうゆに漬けるだけ。酢は塩分を減らしてもおいしく食べられるためで、味を薄めてうま味を出すためにワインを入れました。しかも、調味料を最低限に抑えるために、ポリ袋に入れて漬けました」

「牛肉の酢じょうゆ漬け」の反響は大きく、掲載したテキストはなんと100万部を超えた。世の主婦たちが、がむしゃらに働く夫の体を気遣い、その未知のレシピに熱心に取り組んだのだろう。

※女性セブン2017年1月5・12日号

関連記事

トピックス