──中国市場ではどうでしょうか?
井上:今は勝手にコピー製品がつくられている状態ですが、比較的、高級な偽物がつくられるようになってきたので、中国人の目も肥えてきているのを感じています。だから、中国人に向けてのフィギュアは可能かもしれません。少し安い価格で、日本と同じものを中国人のためにつくるんです。とはいえ、まだ欲しがる人数が少ないので、版権をとっての商売は偽物に圧迫されるので、かなり難しいと思います。
大資本ならば、日本のスタッフで制作する中国向けアニメに出資し、偽物を作る暇がないタイミングでフィギュアを売る。その方法なら中国でもフィギュア販売が可能かもしれません。
──たまっていた法人税の元金をすべて支払ったとのことですが、次々とみつかった未払いも精算できたのでしょうか?
井上:あとは、僕を信用して「払わないはずがない」と1000万円もの未払いを黙って待ってくれていた工場へ対してだけです。それは、最後のアイテムで全部返します。最後に残った金型の売却が完了すれば、終わります。来年の夏ぐらいまでに、たぶん、何もかもすべて終わると思います。
──フィギュアの金型といえば、商品化できていない金型がたくさん資産に計上され固定資産税がかかっていたと昨年、お話されていましたね。
井上:その金型はひとつを除いて順次、廃棄しています。廃棄しましたという証明書を作成し、税金を生むだけで儲けに繋がらなかった固定資産は順調に減っています。ひとつだけ、他社、共同開発する金型があります。それは今後、K水問題最後のプロジェクトとして発表する予定です。面白いことになるだろうなと思っています。
●井上純一(いのうえじゅんいち)/1970年生まれ。宮崎県出身。漫画家、イラストレーター、ゲームデザイナー、株式会社銀十字社代表取締役社長。多摩美術大学中退。ひと回り以上年下の中国人妻・月(ゆえ)との日常を描いた人気ブログ『中国嫁日記』を書籍化しシリーズで累計80万部を超えるベストセラーに。2014年から広東省深セン在住だったが、2016年に日本に戻った。著書に『月とにほんご 中国嫁日本語学校日記』(監修・矢澤真人/KADOKAWA アスキー・メディアワークス)など。最新刊『中国嫁日記』6巻(KADOKAWA エンターブレイン)が発売中。