昔と違ってアクの減ったごぼうは、酢水にさらす手間を省く。干ししいたけも水でゆっくり戻さずに、砂糖を少々入れてレンジでチン。

 普通の主婦だった小林さんの「今、乗り越えられればそれでいいんです」という言葉と、ちゃっちゃと料理を作っていく姿に、多くの女性が勇気づけられた。

「肉じゃががフライパンでできちゃったり、本当に時間をかけずにできる料理ばかり。カツ代さんを見て“無理して手間をかけなくてもいいんだ”“ラクにやるは賢いことなんだ”って思えるようになりました」(52才女性)

 平成の世になり、バブルが崩壊すると、外食を控える人が増え、家庭料理への回帰が進んだ。しかし、向かったのは「手作り」ではなく、冷凍食品やスーパーで買ってきたお総菜を食卓に並べるだけの“中食”だった。

 家族が一緒に食卓を囲まずにそれぞれ好きな時間にバラバラに食事をとる家庭が増え、共働きの両親の帰りが遅いために子供がひとりでご飯を食べる“孤食”も問題になった。

 しかし――そうした“料理離れ”は今も変わっていない。外食ではワンコインで食べられるファストフード店があふれているし、デパ地下に行けば、味もおいしくて栄養バランスも考えられた総菜がいくらでも売られ、“孤食”の傾向も一層進んでいる。

 そんな時代だからこそ、「手作りすることの良さを伝えたい」と、『きょうの料理』のチーフプロデューサー・大野敏明さんは語る。

「食べてもらう家族のために、その日の健康状態でちょっと味の加減をしたり、少し自分なりのアレンジをして愛情を込めた工夫をしたり。料理すること自体がクリエーティブで、すごく楽しいってこともある。そうしたことができるのが料理の良さだと思うんです」

『きょうの料理』にも出演する料理愛好家の平野レミさんは、テレビで数々のユニークな料理や手軽な調理法を伝えている。それは料理の楽しさを伝え、実際に作ってほしいからだ。

「今、出来合いのものばかりを買っているお母さんが増えているけれど、それじゃ母親の愛情ってなかなか伝わらないわよね。

 私が子供の頃は母親がぜんぶ作ってくれていて、朝食の準備でかつおぶしを削る音が目覚まし代わりだったぐらい。味だけじゃなくて、母親が作る料理にはそうした記憶が刻まれている。大人になったときに思い出すおふくろの味が、レトルトの“袋の味”になっちゃったら悲しいでしょ」(レミさん)

※女性セブン2017年1月5・12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

この日は友人とワインバルを訪れていた
《「日本人ファースト」への発言が物議》「私も覚悟持ってしゃべるわよ」TBS報道の顔・山本恵里伽アナ“インスタ大荒れ”“トシちゃん発言”でも揺るがない〈芯の強さ〉
NEWSポストセブン
亡くなった三浦春馬さんと「みたままつり」の提灯
《三浦春馬が今年も靖国に》『永遠の0』から続く縁…“春友”が灯す数多くの提灯と広がる思い「生きた証を風化させない」
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこ(45)の自宅マンションで身元不明の遺体が見つかってから2週間が経とうとしている(Instagram/ブログより)
《遠野なぎこ宅で遺体発見》“特殊清掃のリアル”を専門家が明かす 自宅はエアコンがついておらず、昼間は40℃近くに…「熱中症で死亡した場合は大変です」
NEWSポストセブン
俳優やMCなど幅広い活躍をみせる松下奈緒
《相葉雅紀がトイレに入っていたら“ゴンゴンゴン”…》松下奈緒、共演者たちが明かした意外な素顔 MC、俳優として幅広い活躍ぶり、174cmの高身長も“強み”に
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン