芸能

今年公開を控えるアニメ映画、大人も楽しめる5作品

●『メアリと魔女の花』 2017年夏公開
 イギリスの作家メアリー・スチュアートが1971年に出版した児童文学『The Little Broomstick(小さな魔法のほうき)』を原作に、元スタジオジブリの米林宏昌が脚本と監督をつとめる。原作では、10歳の孤独な少女メアリ・スミスが黒猫とともに様々な試練と冒険を体験する。特報として公開された映像では、メアリがほうきにまたがって空を飛ぶ様子などが公開された。

「スタジオジブリが制作部門を解散したあと、『思い出のマーニー』の米林監督と西村義明プロデューサーが設立したスタジオポノックの第一作になります。前作『思い出の~』では、少女二人の友情を、ときにフェティッシュなほど繊細に表現した米林監督がつくる今回の作品も、少女が主人公です。『思い出~』はとても静的な描写が多かったのですが、今回は主人公が魔女ですし、すでに公開されている短い映像だけ見ても、とても動きが多い。国民的ヒットアニメを長年つくってきたジブリの後継者といえる監督・プロデューサーコンビによる作品ですし、スタッフもジブリ関係者が多いでしょうし、多くの人が楽しめる映画だと思います」(藤津さん)

●『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』 8月18日公開予定
 1993年にフジテレビで放送された岩井俊二監督のテレビドラマが原作。ドラマでは奥菜恵が演じた小学生のヒロイン・なずなを、今回のアニメ映画では広瀬すずが演じる。なずなに淡い恋心を抱く典道と祐介には菅田将暉と宮野真守。総監督は『魔法少女まどか☆マギカ』の新房昭之、脚本には映画『モテキ』監督の大根仁、プロデューサーは『君の名は。』の川村元気。

「もとの作品が中編なので、それを長編劇場作品にするためにどのようなオリジナル要素を追加するのか楽しみです。新房監督といえば、様式的な独特の構図とシャープな編集による語り口に特徴があります。今回の作品は岩井俊二作品が原作なので、思春期の少年少女の情感がポイントになります。。新房監督の作風と混ざることによって、どのような相乗効果をあげるのかが楽しみな作品です」(藤津さん)

●『虐殺器官』 2月3日(金)公開
 これまであげてきた作品と比べると好みが分かれる作品になるかもしれないが、気になる作品と藤津さんが挙げるのが、、早世した作家・伊藤計劃のデビュー作『虐殺器官』のアニメ映画。戦争犯罪人の暗殺を任務とするアメリカ情報軍のクラヴィス・シェパード大尉と、世界を股にかけて虐殺を扇動するアメリカ人ジョン・ポールをとりまく世界の行く末を描く。

「村瀬修功監督は、もともとアニメーターとして有名な方ですが、最近は『Ergo Proxy』『GANGSTA.』などで監督を手がけられています。劇場作品の監督としては今回が初めてになります。ハードな内容の原作なのでときにはシビアな描写も避けられない作品になると思いますが、動きがありかつ美しい映画になるのは間違いないでしょう。洋画のアクションものなどが好きな方には、そこをとっかかりに見ていただくと意外な驚きを感じられるかもしれません」(藤津さん)

 アニメ映画のために徹夜で行列ができたと世間を驚かせた劇場版『宇宙戦艦ヤマト』が公開された1977年から、来年は40周年をむかえる。当時のヤマトファンも還暦近くになり、今ではアニメ映画をみる年齢層は幅広くなった。そのため提供される作品も多種多様に、大人が楽しめるものが増えている。『君の名は。』だけでなく、これからもアニメ映画作品から目が離せない。

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