国内

MEGA地震予測 熊本・鳥取をピンポイントで予測できた理由

MEGA地震予測を手がける村井俊治・東大名誉教授

 2016年は4月の熊本地震、10月には鳥取県中部地震と、相次いで大きな地震が発生した。余震を含めると、震度5弱以上の地震が計27回(2015年は10回)も起きた“異例の年”だった。両県とも、これまで地震が多いとされる地域ではなかった。そのため、「どこで大地震が起こってもおかしくない」という不安が、日本中を覆っている。

 そんな中、我々が頼るべき重要な指針が「MEGA地震予測」だ。2016年は村井俊治・東大名誉教授の予測の精度の高さが改めて実証される1年となった。

 特に、4月の熊本地震と10月の鳥取県中部地震では、それぞれ発生3か月前の本誌記事で「熊本」と「鳥取」を新たな警戒ゾーンに加え、警告を発していた。なぜ、村井氏はピンポイントで大地震を予測することができたのか。理由は独自の予測法にある。

「MEGA地震予測」のベースになっているのが、全国1300か所に設置された国土地理院の「電子基準点」のGPSデータである。

 そのデータから、地表のわずかな動きを捉え、1週間ごとの基準点の上下動による「異常変動」、地表の長期的な「隆起・沈降」(上下動)、地表が東西南北のどの方向に動いているかの「水平方向の動き」の3つの指標を主に分析し、総合的に予測している。

 つまり、地表の動きを即座に反映することで、予測を微調整し、ピンポイントに異常が指摘できる。「その地域で過去に地震が起こった頻度」から地震発生確率をパーセンテージで予測する従来の地震学とは「手法」も「思想」も根底から異なるのである。村井氏が指摘する。

「6年前の東日本大震災以降、日本列島では地表の大変動が起きている。昨年の熊本地震以降、その変動幅は拡大し、今も広がっています。そのため、今年は昨年以上に大きな地震が起こる可能性がある」

 村井氏が顧問を務める民間会社JESEA(地震科学探査機構)の協力で作成した「異常変動全国MAP’17」を見ると、各地で異常変動が起きていることが分かる。

「2016年は夏に全国的な一斉異常変動が見られ、それを示す点は東日本大震災時と同等の数になった。その後、10月から静謐期間(大きな変動のない静かな期間)が続いている。

 経験則として、一斉異常変動から静謐期間を経て大地震が起こることが多い。その静謐期間が長ければ長いほど地震は大規模になる傾向があります。そのため2017年は、いつ、どこで大地震が起きてもおかしくありません」(村井氏)

●村井氏が顧問を務める民間会社JESEA(地震科学探査機構)では、毎週水曜日にメルマガ「週刊MEGA地震予測」、スマホ用ウェブサービス「nexi地震予測」で情報提供している。詳細はhttp://www.jesea.co.jpに。

※週刊ポスト2017年1月13・20日号

関連記事

トピックス

雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
「とにかく献金しなければと…」「ここに安倍首相が来ているかも」山上徹也被告の母親の証言に見られた“統一教会の色濃い影響”、本人は「時折、眉間にシワを寄せて…」【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン